■ 3行でわかる
① 第2次高市改造内閣で林芳正総務大臣が閣外に出され、石井準一参院幹事長が退任させられた――高支持率の内閣で普通なら留任が基本だったこの2人を高市首相が切ったことに、文芸評論家の小川榮太郎氏は時代の転換を読み取る。
② 「この人事は安倍さんならやらない」。第1次政権で叩きのめされ、直前まで民主党が政権を取れるほど左翼が強かった時代の安倍氏は、公明党や党内リベラルに配慮し「できるだけ敵を少なくする」政治をせざるを得なかった、と背景を説明する。
③ 岸田政権というブリッジを経て宏池会路線が安倍路線に身を合わせた今、高市首相に求められるのは「味方を明確にする」こと。平成年間の中国とのズブズブな関係を断ち切り、イデオロギー軸を鮮明にする段階に入った、と結論づける。
動画の概要
文芸評論家の小川榮太郎氏が、第2次高市改造内閣の発足を受けて語った回です。個別の人事の面白おかしい話は政治記者やジャーナリストに任せるとしたうえで、「大きな時代の流れ」という大局観から今回の人事を読み解きます。林芳正氏の閣外起用と石井準一氏の幹事長退任という2つの処遇を軸に、安倍時代と高市時代で何が決定的に変わったのかを論じています。
主なポイント
1. 注目すべき2つの人事
- 林芳正総務大臣が閣外に出たこと、石井準一参院幹事長が退任させられたこと
- これだけ高支持率の内閣であり、通常なら留任を望む方向が基本。つまり高市首相が切らない限り2人とも残っていたはず
- 林氏は総裁選への意欲を明らかにしているが、非主流派になって勝つのは相当厳しい状況
- 石井氏は事あるごとに高市政権の運営を邪魔立てしたと報じられており、旧来の参院自民党の伝統的なやり口だと指摘。ただし「参議院のドン」と書かれるものの、参院内でも眉を潜められることがしばしばあった人物で、参議院全体を取りまとめていたわけではない
- 非主流派・非高市的な核になりうる2人を、いずれも閣外・要職外に出したことの意味は大きい
2. 「この人事は安倍さんならやらない」
- では何が違うのか ― 時代が違う、というのが小川氏の答え
- 安倍氏の政治は、自民党内のリベラルに配慮するものだった。なぜなら連立与党に公明党がおり、公明党と党内リベラルは親和性が高いから
- 第1次安倍政権は朝日や左翼に叩きのめされ、1年で事実上退陣させられた
- 第2次政権の直前は民主党政権。つまり民主党は政権を取れるほど強く、左翼はまだ強く、国会は一歩間違えれば自民党保守派がひねり潰される状況だった
- だから安倍氏の政治は「できるだけ身内を増やす政治」にならざるを得なかった
3. 岸田政権という「ブリッジ」
- 安倍氏が生涯をかけたレジームチェンジは、政治の世界においてほぼ実現した
- その間に岸田氏というブリッジがあった。宏池会の岸田氏が安倍政治を丸ごと継承した
- これにより、自民党内でリベラルと言われた側も、岸信介直系・安倍晋三の側に身を合わせていかない限り、自民党も日本も持たず、世論もついてこないことが証明された
- 岸田氏がそれを正面から証明し、石破氏が逆側から証明した、というのが小川氏の整理
4. 高市政治は安倍政治の真似ではない
- 安倍氏は「みんな仲間内」、高市氏は自民党の明確な保守・親米保守を軸に据える
- 平成年間に築かれた政界・財界を中心とした中国とのズブズブな関係を断ち切るべきだと主張
- 「自民党と旧統一教会がズブズブと言うが、中国とのほうがよほどズブズブではないか。ジャーナリズムも新聞も、保守の中にも裏でズブズブな者がたくさんいる」と批判
- 日本の国柄と自立を前提とした親米、自由と繁栄の弧から始まる世界の自由主義国家との連携という線を選ぶべき
- 安倍・麻生両氏が使った「戦略的互恵関係」とは、逆に言えば互恵できない部分では妥協しないということ
- だから今回大事だったのは、安倍氏のように敵を少なくすることではなく味方を明確にすることだった
5. 林芳正氏の立ち位置
- 林氏を留任させなかったのは、この軸を鮮明にするためだと小川氏は見る
- 林氏は親米でもあり親中でもある。小川氏との対談では「媚中と言われるのは心外、中国をよく知っているという意味で知中だと思っている」「中国の改革派とむしろ自分は近い」と語ったという
- 小川氏自身は林氏と中国の関係を調査したわけではないとして断定を避けつつ、親米政治家なのか親中政治家なのか、どちらもブリッジする在り方はこれから厳しくなると指摘
- 日本全体が旗を鮮明にする時代に突入し、高市人事はその方向に踏み出したものだと考えるべきではないか、と述べる
6. 中国の内政干渉と台湾有事答弁
- 中国側は、訪中団の国会議員に対し、高市氏の昨年の国会答弁(台湾有事に関するもの)を撤回しない限り状況は戻らないと言い続けている
- 「人の国の国会答弁に邪魔立てするな」という話であり、そこへ出かけて行ってご意見拝聴してくること自体が問題だと批判
- これは排外主義でもナショナリズムでもなく外交のイロハのイ。それができない人たちが自称親中派なら、それは親中ではなく媚中だと断じる
- 問題の答弁自体、岡田氏のしつこい質問に対し「従来の国会答弁の枠は超えない」と再三述べたうえで、具体例を執拗に聞かれて答えたもの
- 言葉の上での恫喝を平気でやる中国のような国から言われる筋合いはなく、「日本人全部がふざけるなで固まらなくてどうする」と訴える。ただし喧嘩をしろという意味ではなく、「ここ以上は入ってくるのは許さない」という部分があるからこそ次に対話ができるのだと説明
7. 「戦後レジーム保守」との決別
- 沖縄県知事選も先の衆院選も、オールドメディアの言説に日本国民はもう騙されず、投票行動に反映されている
- 林氏がもし首相の座を狙うなら、反高市の人々を集めても泥船になると忠告
- 親米保守の線で、より先鋭的な高市氏や維新に対して穏健保守として立つべき ― ただし「戦後レジームを守ったら穏健保守ではない、それはもう左翼だ」
- 戦後レジーム保守は結局、日本の国柄も外交安全保障も全部曖昧にしてきた。それはもうやめようという時代に来た
まとめ・結論
今は劇的に時代が変わっている局面であり、これからもっと激しくなる ― ある意味では極めて破滅的なこともあり得るが、だからこそ大局観と希望を失ってはならない、と小川氏は冒頭で述べます。安倍氏が置かれた「守りながら仲間を増やす」時代は終わり、レジームチェンジがほぼ実現した今、高市政権に求められるのは味方を明確にし、イデオロギー軸を鮮明にすることだ ― 林芳正氏と石井準一氏の処遇は、その転換を象徴する人事だった、というのが本動画の結論です。動画の中では自著『約束のあと』と、9月18日に出たばかりの『名で迫る幕末維新の真相』も紹介されています。
▶ 元動画を視聴する(小川榮太郎の平和研チャンネル)

