馬淵睦夫 「2024年世界の真実」  第2部 2024年はディープステイトの崩壊が始まる

馬渕睦夫(まぶち むつお) 元駐ウクライナ兼モルドバ大使、元防衛大学校教授、元吉備国際大学客員教授。

目次

第 1 章   ロシア と 北朝鮮 首脳 会談 を 読み解く

ロシアは北朝鮮を同盟国にした

・2023 年 の ウクライナ 戦争 の 敗北 を通じて、 過去 100 年 にわたり 世界 を 裏 から 支配 し て き た ディープステート( DS) の 凋落 が 進行 し 始め た。

・象徴的 に 示し た のが、 DS が 北朝鮮 の 後ろ 盾 として の 役割 を 放棄 し た こと。

・ DS の 庇護 下 から 脱し て、 ロシア の 同盟国 と なる こと を 選択 し た 北朝鮮 の 指導 者 を 歓迎 し た という のが 真相

・金 正 恩 は ウクライナ 戦争 を 戦っ て いる ロシア こそ、 世界 の 平和 の ため に 貢献 し て いる の だ と、 世界 に 向け て 発信 し た と 見る こと が できる 。

・北朝鮮 は アメリカ の DS が 世界 の トラブル メーカー として 活用 する ため に 造っ た 国。

仕掛けられた朝鮮戦争の開戦

・1950 年 1月、 アメリカ の アチソン 国務長官 の 演説。 結論 を 一言 で いえ ば、「 台湾 と 韓国 は アメリカ の 防衛 線 の 外 に ある」 という 驚く べき 内容。 蔣介 石 の 台湾 と 李承晩 の 韓国 の 安全保障 に 関心 が ない と中華人民共和国 と 北朝鮮に対し、 台湾 と 韓国 を 侵略 し ても 良い と 餌 を 蒔い た。

・餌 に 飛びつい た のは 北朝鮮 の 金日成 でし た。 北朝鮮 軍 は 怒濤 の 如く 38 度 線 を 越え て 韓国 に 攻め込み、 釜山 を 落とし まし た。 勝負 あっ た と 思わ れ た この 時 に 国連軍 が 介入 し て き た。

・国連軍 が 編成 さ れ た こと 自体、 教科書 的 な 歴史観 からは 理解 不可能な 出来事。

・ 驚く べき こと に、 ソ連 の スターリン 首相 が ソ連 代表 に 安保理 を 欠席 さ せる こと で 協力 し た の です。北朝鮮 の 後ろ 盾 で あっ た ソ連 が、 なぜ 北朝鮮 に 不利 な 国連軍 編成 に 協力 し た のか?

・ソ連 の 外務大臣 を 務め た アンド レイ・グロムイコ が 自ら の 回想録で、「 グロムイコ が 国連軍 結成 安保理決議 に 拒否権 を 行使 す べき だ と スターリン に 直談判 し た の に対し、 なんと スターリン は『自分 の 考え では、 ソ連 代表 は 安保理 会議 に 出席 す べき では ない』 と 答え た。」

・当時 スターリン は 北朝鮮 の 後見人 では なかっ た。後見人 は、 ディープステート だっ た の です。 という こと は、 スターリン でさえも、 DS の 意向 には 逆らえ なかっ た こと を 暗示。

・世界 制覇 を 巡る 米 ソ の 対立 と 学校 で 習っ た 第 2 次 大戦 後 の 東西 冷戦 体制 は、 DS の 自作自演 で あっ た こと が わかる。

マッカーサーは語る

・ 驚く べき こと に、 アメリカ は マッカーサー に 勝利 に 必要 な 武器 や 人員 を 与え なかっ た。

・ マッカーサー は 中共 軍 の 北朝鮮 への 侵入 ルート で ある 鴨緑江 の 橋梁 を 爆撃 する 許可 を アメリカ 政府 に 求め まし た。 しかし、 アメリカ 政府 の 回答 は 想像 を 絶する 内容 でし た。 イギリス 政府 と 協議 し た 結果、「 満洲 国境 から 8 キロ の 範囲 内 に ある 目標 に対する 爆撃 は すべて 延期 する」 と、 マッカーサー を 落胆 さ せる 厳しい 内容 だっ た。

・加え て、 マッカーサー を 驚愕 さ せる 事実 、 マッカーサー の 軍事 作戦 の 詳細 が、 アメリカ 国務省 を通じて イギリス に 伝え られ、 イギリス から ソ連 と インド を通じ 中共 軍 と 北朝鮮 軍 に 流さ れ て い た の です。 中共 軍 は 満洲 内部 の 補給線 を 攻撃 さ れる 恐れ が ない こと を 知っ て い た ので、 いわば 聖域 として 自由 に 使用 する こと が でき た の です。 アメリカ が、 敵 の 中共 軍 を 守っ て やっ て い た。

・ 回想 記 からは 共産主義 を 世界 に 広めよ う と する DS の 戦略 が 見て取れる。

・マッカーサー 自身 が どうしても 理解 でき なかっ た 点 が この DS の 姿勢 だっ た。

・中国 における 国共内戦 について、 マッカーサー は マーシャル 将軍 が 蔣介 石 に 共産党 との 連立 を 強いる など、 悲劇的 な 誤り を 犯し た と 批判 し て い ます が、 共産党 政権 を 樹立 しよ う と 工作 し た マーシャル の 本音 は 理解 でき なかっ た。

・朝鮮戦争 に 国連軍 側 に 立っ て 参戦 し たい との 蔣介 石 の 要望 を、 ワシントン に 取り次ぎ ます が、 その 都度 拒否 さ れる 憂き目 に あっ て い ます。 国連軍 の 作戦 の 最高 責任者 で あっ た トルーマン 大統領 の 下 で 国防 長官 を 務め た のは、 マーシャル 将軍 。

・マッカーサー が 蚊帳 の 外 で あっ た 。 DS に とっ て みれ ば、 彼ら の 秘密 を 軽々 に 漏らす こと は し なかっ た 。 マッカーサー は、 アメリカ の 真 の エスタブリッシュメント の メンバー では なかっ た。

マッカーサーの日本擁護

・1951年5月 に アメリカ 議会 上院 軍事 外交 委員会 で 、「 日本 が 大東亜戦争 に 突入 し た 原因 は おおむね 安全保障 の ため だっ た 」と 証言。

・ 日本 政府 は、 この マッカーサー 証言 に 触れる こと を 意図的 に 回避 し て い ます。 もちろん、 歴史 教科書 には 出 て き ませ ん。

・DS の 論客 で あっ た ズビグニュー・ブレジンスキー は、「 戦後 の アメリカ DS の 目的 は、 日本 が リージョナル・パワー として 再興 する こと を 認め ない こと」 だ と 自著(『 The Grand Chessboard』) の 中 で 明らか に し て い ます。

・ 独立 国家 として 認め ない という こと 。 日本 には 主権 が ない という 意味 でも あり ます。

戦後レジームとは DSの日本への企み

・ DS は 戦後 の 日本 が パワー を 回復 し ない ため に、 入念 な 分割統治 方式 を 日本 と 近隣 諸国 との 関係 に 持ち込んだ。

・ ソ連 との 関係 では、 日本 が ソ連 との 間 で 永久 的 に 北方領土 の 範囲 を 巡り 論争 する よう 仕向け た。

・国連憲章 に ある 敵国 条項 は 国連 改革 の 一環 として 国連総会 決議 によって 死文 化 し て い まし た。 しかし、 憲章 には そのまま 残っ て いる。

・第 2 次 世界大戦 の 戦勝 国 の 集まり 。 日本 は 敗戦 国 として、 敵国 として 戦勝 国 の 集団 に 入れ て もらっ た に すぎ ない。 したがって、 敵国 条項 を 適用 さ れ た として も、 受け入れ ざる を 得 ない 立場。

・ アメリカ は 「竹島 が 日本 領」 と 認め て いる、 公 に し て くれれ ば 本件 は 直ちに 解決 する の です。 あえて 公 に し ない こと で、 日韓 を 竹島 領有 で 半永久的 に 争わ せよ う との アメリカ の 陰険 な 意図 を感じる。

・ 韓国 人 の キム・ワンソプ 氏 は『 親日 派 の ため の 弁明』 の 中 で、 アメリカ が 日本 を 再興 さ せ ない ため に、 韓国 内 で 強力 な 反日 洗脳 教育 を 行う とともに、 産業 面 において は 日本 経済 を 牽制 する ため に 先端 産業 を コピー さ せ て、 韓国 の 経済 発展 を 支援 し た と、 日韓 の 憎悪 関係 が DS によって 意図的 に 育成 さ れ た こと を 明らか に し ている。

・ DS は 尖閣諸島 が 日米安保条約 第 5 条 の 適用 範囲 内 で ある こと を 公言 し ている が、 尖閣諸島 が 日本 領 で ある こと は 認め て い ない。 この 姿勢 も、 これ までに 見 て き た 分断 統治 方式 と 同じ で、 尖閣諸島 の 領有 を 巡り、 日本 と 中国 が 半ば 永遠 に 対立 する こと を 狙っ た もの。

・尖閣 を 巡り、 日中 が アメリカ の 意向 を 離れ 解決 を 求める こと を 牽制 し ている.

第2章 DSと20年戦い続けたプーチン大統領

DSとの直接対決は、2003年10月に開始

・ プーチン 大統領 が 北朝鮮 を 自ら の 陣営 に 迎え入れる こと が でき た のは、 2003 年 以降、 DS の ロシア 支配 と 戦っ て き た プーチン の 固い 信念 による。

・ 2023 年 9月 30 日 演説は、 いわば プーチン 大統領 の 対 DS 戦争 観 の 集大成 と いっ ても 良い もの で、 DS に対する 最終 戦争( ハルマゲドン) への 決意 を 世界 に 向かっ て 明らか にしたもの。

・ウクライナ 戦争 が ロシア 勝利 の うち に 終わっ た 。 ウクライナ と ロシア の 戦争 では なく、 DS と ロシア との 戦い でした。 この 事実 を 理解 し ない と、 2024 年 以降 の 世界 に 何 が 起こる のかを 見通せない。

・ロシア 系 住民 が 彼ら の 望む ロシア 文化 の 下 で 生活 する こと を 保障 し た 宣言。

・2014 年 2月 の マイダン・クーデター 以降、 ロシア 系 住民 は D S 配下 の ウクライナ 非合法 政権 によって 虐殺 さ れ て き まし た。

・ミンスク 合意( 2015 年 2月) に従い、 ドネツク・ルガンスク 地域 に 高度 な 自治 を 認める 交渉 を 行う こと が 合意 さ れ て い た が、 ゼレンスキー 政権 に なっ て 反故 にさ れ た 。

・「 メルケル 首相 は 最近「 当時 の 独 仏 は プーチン を だまし て い た」 との 趣旨 の 発言 を し て 物議 を かもし まし た が、 ゼレンスキー 政権 前 の ポロシェンコ 大統領 時代 の ミンスク 合意 を 巡る 交渉 時 の 雰囲気 とは 隔世 の 感 が あり ます。 簡単 に 言え ば、 この 時 は メルケル 首相 も フランス の オランド 大統領 も 真剣 だった。

・しかし両者に反発 し た ジョージ・ソロス 以下 ネオ コン の 連中 が、 独 仏 に 報復 し た の です。 ドイツ に対して は 100 万人 の シリア 難民 の 流入、 フランス に対して は パリ 同時 多発 テロ でし た( いずれ も 2015 年)。 この 結果、 両国 は ミンスク 合意 への 積極的 な 介入 を 控える よう に なっ た。 DS の 報復 手口 の 例 として、 覚え て おく べき。

・プーチン 大統領 が 現在 の 欧米 諸国 が 左傾 化 し て 腐敗 し て いる こと を 鋭く 指摘 し て いる。 伝統 文化 を 否定 する こと が いかに 罪深い こと で ある かを 強調 し ている。

・ ウクライナ 戦争 が 始まる 半年 前の演説 の 中 で、 極左 勢力 による 既存 秩序 破壊 運動 の 危険性 を 非難 し て、 伝統 的 価値 を 徹底的 に 否定 し た ボルシェビッキ 革命 の 教訓 に 学ぶ べき こと を 訴え まし た。 この プーチン の 指摘 は、 極左 運動 の 正体 を 暴い て いる 点 で 大いに 参考 になり ます。

・ プーチン 氏 は 人種差別 反対 の 掛け声 が 結局 文化 の 全面的 否定( キャンセル カルチャー) に 変質 し て、 新た な 人種差別 感情 を 生ん で しまい、 真摯 に 人種差別 と 闘っ て き た 人々 を 孤立 さ せる 結果 に なっ た と 鋭く 指摘 し て い ます。批判的人種論を 弄ん で い た 左翼 の 人々 に対する 正面 からの 挑戦 でし た。

プーチンと欧米愛国者たちとの共闘が始まった

・ 9月 30 日 の 演説 を 分析 し て み ます と、 プーチン 大統領 は 今日 の DS の 凋落 に 確信 を 持っ て い た こと が 判明。

・それどころか、 ウクライナ 支援 や ロシア 制裁 に 懐疑 的 な EU 諸国 の 立場 に 同情 を 示し て いる。 EU 諸国 だけで なく、 アメリカ 国内 の 国益 重視 派 の 人 たち に対して も、 DS の 影響力 を 断ち切る ため に ロシア との 共闘 を 呼び掛け て いる と 読める。

・アメリカ や EU 諸国 の ウクライナ 戦争 の 停戦 を 求める 動き を 見れ ば、 彼ら が プーチン 演説 の 趣旨 を 的確 に とらえ て、 具体的 な 行動 を 始め た こと が わかる。

・9月 26 日 に ノルドストリーム・パイプライン が アメリカ の CIA と 海軍 および ノルウエー 海軍 の 合同 作戦 によって 破壊 さ れ ました。

・ この 爆破 は DS の 作戦 が 経済制裁 から 転覆 活動 に 転化 し た として、 ドイツ のみ なら ず 欧州 全体 の エネルギー・インフラ を 破壊 し、 脱 工業化 を 狙っ た もの だ と 非難 し て い ます。

・ 実は、 この 爆破 事件 を 契機 として、 アメリカ 政府 部内 で ウクライナ 戦争 終結 に 向け た 国益 重視 勢力 が、 DS の 戦争 継続 路線 を 抑える こと に 成功 し た と み られる 。

・ 国益 重視 派 は、 ドイツ や 欧州 の ロシア 依存 を 軽減 する こと に 成功 し た ので、 ウクライナ 戦争 の 外交 的 目的 を 達し た と 判断 し た。

・ この 国益 派 の 勝利 が 11 月 14 日 に トルコ で 行わ れ た バーンズ CIA 長官(元駐露大使) と ナルイシキン 露 対外 情報 庁 長官 の 直接 会談 に 結実 し まし た。

・ 停戦 を 巡り、 アメリカ 政権 内 で 路線 対立 が 表面化。 あくまで ロシア との 戦争 を 続行 さ せよ う と する DS、 これ に対し アメリカ 政府 内 の 国益 派 は DS に 不利 な 情報 を 漏洩 さ せる 作戦 に 出 た。以降、 ウクライナ の 敗北 を 示唆 する 様々 な 政府 文書 が、 メディア に 流さ れる。

・2023 年 1月 に 発表 さ れ た 国防総省 の シンクタンク で ある ランド 研究所 は、 ウクライナ 戦争 が 長引け ば 長引く ほど アメリカ の 国防 力 が 弱体化 し、 中国 の 台頭 などに 備える うえ で 不利 に なる として、 早期 の 停戦 を 求める もの でし た。 これ を 受け て、 2月 に バイデン 大統領 が ウクライナ を 電撃 訪問 し て、 ゼレンスキー に ロシア との 停戦 交渉 に 入る よう 促し た 。

・DS の 反対 にも かかわら ず ウクライナ 支援 の 終了 を 言い渡す ため で あっ た から こそ、 事前 に ロシア に 訪問 日程 を 通報 し た わけ です。 プーチン が バイデン を 攻撃 する 動機 は あり ませ ん。 プーチン として は、 アメリカ の 国益 派 による 停戦 へ 向け ての 動き を 歓迎 し た こと でしょ う。 むしろ、 バイデン の 電撃 訪問 こそ、 プーチン の 停戦 姿勢 を 支持 する との、 アメリカ の 仲間 たち への シグナル であっ た と 解釈 さ れ ます。

・ 恐らく プーチン 大統領 は、 今春 以降 の ウクライナ の いわゆる 反転 攻勢 の 宣伝 工作 に 対抗 処置 を とら ず に、 静観 する 態度 を とっ て いる の だ と 考え られる。 阿吽 の 呼吸 で、 米 露 の 協力 が 実現 し て いる と 見る こと が できる。

・ 9月 30 日 の 演説 は、 フランス、 イタリア、 スペイン などの 1000 年 にわたる 歴史 と 伝統 文化 に 敬意 を 払い ながら、 これら 諸国 の 国民国家 を 破壊 しよ う と DS が 努め て いる こと に 警鐘 を 鳴らし て、 ロシア と共に DS と 戦お う では ない かと、 これら 諸国 の プライド を 擽っ て いる の です。 かくして、 プーチン 大統領 は 欧州 の 多く の 諸国 を 味方 に つける こと に 成功 し た と 見る こと が でき ます。 最近、 ポーランド、 ハンガリー、 チェコ は 穀物 輸出 を 巡り ウクライナ を WTO に 提訴 し まし た。 本来 なら、 直接 交渉 で 解決 できる 問題 です が、 これら 諸国 と ウクライナ との 亀裂 は 深まる 一方。

・ 欧州 各国 において 親 露 派 政党 の 躍進 という ドミノ 現象 が 起こり そう に 見 られ ます。

・ プーチン 演説 の 真意 は、 欧米 諸国 との 対決 姿勢 を 強化 する こと では なく、 プーチン が 始め た DS という 悪魔 との 聖戦 に対し、 共に 戦お う という 融和 姿勢 を 伝える こと でし た。

・ この メッセージ を 正しく 理解 し た アメリカ や 欧州 の 愛国 者 たち が、 プーチン と 共闘 する こと を 選択 し た の です。 現在 は まだ 水面下 での 動き です が、 2024 年 には 愛国 者 による 聖戦 が 私 たち の 目 に 見える 形 で 明らか に なる こと でしょ う。 プーチン 演説 には 北朝鮮 に関する 言及 が 見 られ ませ ん が、 この ころ すでに ロシア と 北朝鮮 の 関係 強化 が 密か に 話し合わ れ て い た として も 不思議 では ない でしょ う。

 ・この 見方 を 裏付ける 動き が、 9月 30 日 アメリカ 議会 で 見 られ まし た。 アメリカ の 2024 年度 予算( 2023 年 10 月 1 日 から 24 年 9月 30 日) が 成立 し なかっ た の です。 最大 の 理由 は ウクライナ 支援 を 認める か 否 か でし た。 妥協 の 末 の 45 日間 の つなぎ 予算 には、 ウクライナ 支援 は 盛り込ま れ なかっ た の です。

・ 結果的 には アメリカ は 10 月 1 日 以降 11 月 15 日 まで ウクライナ に 新た な 武器 援助 などを 行う こと は でき なく なっ た。

・ プーチン の 呼びかけ に 応じ た、 アメリカ 愛国 者 の 行動 で あっ た と 見る こと も、 排除 でき ませ ん。 もし そう なら ば、 この 45 日 の 内 に ウクライナ 戦争 が 完全 に 終わっ て いる 可能性 が 出 て き た の です。  

・ つなぎ 予算 を まとめ た マッカーシー 下院 議長 が、 共和党 内 の 強硬派 によって 解任 さ れる という 事件 が 起こり まし た。 マッカーシー 議長 は 共和党 員 では あり ます が、 いわゆる RINO( 名ばかり の 共和党 員) で、 そもそも 議長 就任 にあたり 共和党 内 の 保守 派 の 反対 で、 15 回 の 選挙 の 末 に 選ば れ た 経緯 が ある 人物 です。 保守 派 は マッカーシー 議長 の 手足 を 縛る 妥協 を 勝ち得 まし た。 後知恵 になり ます が、 マッカーシー 解任 事件 にも、 DS の 敗北 が 目 に 見える 形 に なっ た。

・ 当面 アメリカ による 新た な ウクライナ 武器 支援 は 行え なく なり まし た が、 イギリス が 武器 援助 を 継続 する 可能性 は 否定 でき ませ ん。 ところが、 最近 の スナク・イギリス 首相 は、 武器 援助 に 慎重 な 姿勢 を 示し 始め まし た。 イギリス 1 国 で 武器 需要 を 支える こと には 無理 が ある と 考え た から かも しれ ませ ん。 ひょっと する と、 本書 が 出版 さ れる 頃 には ウクライナ 戦争 の 終結 に 向け た 動き が 明らか に なっ て いる 可能性 が あり ます。

イスラエルVSハマス戦争

  1. ハマスによるイスラエルへの攻撃:2023年10月7日、イスラム原理主義過激派のハマスがイスラエルに2000発以上のロケット弾で攻撃を行った。この攻撃は、ユダヤの祭日ヨムキプールに合わせて行われ、イスラエル人や外国人の多数の死傷者を出した。
  2. メディアの反応:この事件を受けて、メディアの関心はハマスに集中した。
  3. 歴史的背景と戦略的分析:過去の事例、特に1973年のヨムキプール戦争を例に、複雑な国際情勢と、その中での戦術や戦略の変化について言及されている。
  4. イスラエルの対応:イスラエル政府はハマスの攻撃を戦争行為と見なし、大規模な軍事反撃を行った。
  5. 地政学的展開:ウクライナ戦争や中東情勢、特にイスラエルと周辺国との関係についての分析がなされ、国際的な動きについて考察されている。
  6. 日本の状況:日本のメディアが国際情勢にどのように反応しているか、また日本の地政学的立場についての評価が述べられている。

プーチンの戦いの歴史

ホドルコフスキー逮捕流刑

第3章 トランプ大統領、DSとの最後の戦い

DSとアメリカとの戦いの歴史

・ プーチン 大統領 と 同様、 アメリカ も 1776 年 の 建国 以来 DS との 戦い を 強い られ て き た。 その 最終 決着 が 2024 年 の 11 月 5 日 の 大統領 選挙 で 着く はず です。

・DS が ウクライナ 戦争 に 敗れ、 崩壊 プロセス に 入っ た 今日、 トランプ 大統領 の 勝利 は 動かし がたい もの と 思わ れ ます。 DS には 2020 年 の よう な 大規模 不正 選挙 を 工作 する 余力 が なくなっ た。 DS を 崩壊 に 導い た プーチン の ウクライナ 戦争 勝利 が、 結果的 には トランプ 復権 に 結びつく こと になり そう です。

・2020 年 の 大統領 選挙 において、 あり も し ない ロシア ゲート を 嗾 けら れ て、 大統領 を 最終 的 には 追わ れる こと に なっ た トランプ 氏 を、 今度 は プーチン 大統領 が 救う こと になり そう です。  

・ 今日 の プーチン・トランプ 関係 を 理解 する ため には、 アメリカ 建国 以来 の 米 露 関係 の 歴史 を 見る 必要 が あり ます。 アメリカ を 乗っ取ろ う と 画策 する DS の 工作 に対して、 米 露 の 愛国 者 が 協力 し て 戦っ て き た こと が わかり ます。  

・アメリカ と DS との 戦い は、 アメリカ 独立 と 同時に 始まり まし た。 1776 年 に アメリカ が 独立宣言 を 発し た こと は、 私 たち が 歴史 教科書 で 習っ た 通り です が、 歴史 教科書 は アメリカ 建国 の 父 たち が アメリカ を 乗っ取ろ う と する DS と 熾烈 な 戦い を 強い られ た こと には、 全く 触れ ませ ん。

・この 戦い は、 まず 通貨 発行 権 を 巡っ て 戦わ れ まし た。 アメリカ における 連邦 派 と 州 権 派 の 戦い 等 と 歴史 教科書 は 解説 し て い ます が、 用語 が どう で あれ ポイント は、 民間 の 中央銀行 の 設立 推進 派 と それ に 反対 する 建国 の 父 たち の 戦い で あっ た こと です。 この 対立 を 有利 に 進める ため に、 中央銀行 派、 すなわち DS が 引き起こし た のが アメリカ 独立 戦争 でし た。 現代 にも 通じる 方法 です が、彼ら は 戦争 を 起こし、 戦争 資金 を 双方 に 用立て、 その 混乱 を 利用 し て 彼ら の 目的 を 達し よう と 画策 する の です。  

・ アメリカ 独立 戦争 は、 1776 年 の 宣言 から 7 年 後 の 1783 年 に ようやく 英米 間 で 終戦 の 合意 が 成立 し まし た。 アメリカ 政府 に 残さ れ た のは、 巨額 の 債務 という 桎梏 でし た。 ロンドン シティ の 国際 金融 家 などからの 借金 を 抱え、 返済 に 窮 し て い た の です。

・ かくして、 中央銀行 設立 の 外堀 が 埋め られ まし た。 国際 銀行家 たち に 借金 を 返済 する ため、 中央銀行 設立 に 口実 を 与える 結果 となり まし た。

・この 方式 は、 DS が 各国 政府 を 支配 する 典型的 な やり方 です。 DS の ヨーロッパ における 広告塔 で ある ジャック・アタリ が『 国家 債務 危機』 の 中 で 述べ て いる よう に、「 国家 は 債務 によって 発展 し、 債務 によって 滅ぶ」 の です。

・ 現在、 習 近 平 の 一帯 一路 構想 による「 債務 の 罠」 が 悪徳 の よう に 非難 さ れ て い ます が、 DS が 昔 から とっ て いる 方式 なの です。 この あたり の 指摘 を 裏返し て 考え て み ます と、「 国家 は 金 を 貸す もの によって 栄え させ られ、 そして 滅ぼさ れる」 という 意味 になり ます。

・この定理こそ、 DSがどうしても通貨発行権を握ろうとする隠れた動機なのです。 DSは新興独立国アメリカを支配するため、通貨発行権を奪いに来たのです。

・このDSの意向を推進したのが、初代財務長官のアレクサンダー・ハミルトンでした。ジャマイカ移民の彼はイギリスの中央銀行であるイングランド銀行をモデルにした合衆国中央銀行の設立を提案しました。これに対し、民間の中央銀行の危険を熟知していたベンジャミン・フランクリンが強硬に反対しましたが、この対立はフランクリンが亡くなった1791年に決着がつきました。

・独立宣言を起草したトマス・ジェファーソンは、通貨発行権限は議会に属すると規定している合衆国憲法に違反するとして強く反対しましたが、ワシントン大統領が法案に署名してしまったのです。

・この合衆国第一銀行は20年の期限付きでしたが、国際銀行家のネイサン・ロロスチャイルドなどの民間銀行が株式の80%を所有し、合衆国政府は20%しか所有できなかったのです。  こうして、アメリカの通貨発行権を握ることに成功したDSでしたが、20年の期限を迎えた1811年に上下両院はいずれも僅か1票差で更新を否決しました。

・ところが、翌1812年に、突如米英戦争が勃発したのです。DSの戦争方式を理解された読者の方々であればお分かりの通り、この大義なき戦争はシティの意を受けてイギリスが嗾けたものでした。結果、アメリカ政府の債務は3倍に膨張し、国内は深刻なインフレに見舞われました。インフレに対処するため、アメリカ議会は合衆国銀行の20年更新(第二合衆国銀行)に同意せざるを得ませんでした。

愛国者ジャクソン大統領

・そして20年後の1832年に期限切れを迎えた中央銀行の更新にあくまで反対したのが、第7代アンドリュー・ジャクソン大統領でした。株主の国際銀行家や彼らに買収された議員たちの執拗な圧力にもかかわらず、ジャクソンは妥協しませんでした。そのため、ジャクソンはアメリカ史上最初の暗殺ターゲットになりました。幸い、不発弾であったため命拾いしましたが、1832年以降アメリカには中央銀行がなくなったのです。以降、1913年の連邦制度理事会設立までの約80年間のアメリカの歴史は、中央銀行設立を巡る戦いであったと言えます。

リンカーン大統領の暗殺

・南北戦争が起きたのも、中央銀行設立を巡る戦いの一環でした。次第にイギリスをしのぐ経済力をつけてきたアメリカを如何にして抑えるかがイギリスの最大の関心だった。

・イギリスは、アメリカの南北の対英貿易構造の差に狙いを定め、綿花輸出に負っていた南部諸国に工作して、工業製品輸出中心の北部と分離するように嗾けたのです。この誘いに乗った南部諸国はアメリカ合衆国から分離独立を宣言したため、統一を唱える北部との間で南北戦争が勃発したのです。

・歴史教科書が言うような、奴隷制を巡る戦いなどではありませんでした。 結局、リンカーン大統領の北部が勝利しましたが、その直後リンカーンは暗殺されました。誰が暗殺したかを見れば、DSが背後にいたことが明白になります。南部連合の財務長官のユダ・ベンジャミンに雇われたジョン・ウイルキス・ブースでした。

・またしても、財務長官なのです。ベンジャミンはディズレリー英首相の側近であり、ロンドンのロスチャイルド家とも親交がありました。リンカーン暗殺後、ベンジャミンはイギリスに亡命しました。  リンカーンが暗殺された最大の理由は、南北戦争の戦費を賄うため、ロスチャイルドなどからの高金利の融資を断り、アメリカ財務省の法定通貨を発行したことです。  

・先に述べたように、戦争をDSの金もうけのために利用する当てが外れたわけです。アメリカ政府を借金漬けにしてコントロールしようとの目論見が頓挫しました。繰り返しになりますが、彼らは政府に金を貸すことによって、政府をコントロールしてきたのです。法定通貨、つまり政府が通貨を発行すると彼らの存在の基礎が崩れることになるのです。

・彼らの怒りは、当時のロンドンタイムスの社説を見るとよく理解されます。 「法定通貨が定着すれば、アメリカ政府はコストをかけずに通貨を供給することになる。アメリカ政府は債務を完済し、史上類のない繁栄を謳歌することになる。このようなアメリカ政府は打倒されるべきである。さもなければ、アメリカ政府はすべての君主国を破壊することになろう」と論じました。通貨の秘密が明白になった社説です。  

・現在の私たちも、リンカーンに倣い法定通貨、すなわち政府通貨を発行すべきです。これによって、DSを完全に崩壊させることができるのです。DSなき世界が繫栄すること間違いがありません。リンカーン後の大統領の中でDSに挑戦した勇気ある人物がいました。あまり馴染みがありませんが、ガーフィールド大統領がその1人です。ガーフィールドは金融により支配を企んでいるDSに言及し、その後、暗殺されました。

・馴染みが深い大統領では、ジョン・F・ケネディを挙げることができます。ケネディは大統領令による連邦政府通貨を発行しましたが、テキサス州ダラスで白昼暗殺されました。2024年の大統領選挙に無所属で立候補を表明したロバート・ケネディJrは、「叔父ケネディ大統領の暗殺の背後にCIAがいた」と公言して物議をかもしましたが、政府通貨発行が暗殺の最大の原因であったことは疑いありません。なお、後を襲ったジョンソン大統領が早速取り組んだ施策の一つが、ケネディ通貨の回収であったことが、事の真相を証明してくれています。

連邦準備制度の成立

・約80年に及ぶ中央銀行設立を巡る戦いは、1912年の大統領選挙で勝利したウッドロー・ウィルソン大統領の下で決着がつきました。問題は、なぜ中央政界に無名であったウィルソンが大統領に選ばれたのかということです。

・2020年とは違った形の不正選挙が行われたのです。一般には不正選挙だと見抜くことが困難なやり方でした。現職のタフト大統領は、2期目の選挙を迎え人気があり楽勝と見られていました。  タフトはウォール街が望む対ロシア政策に応じませんでした。折からニコライ2世の帝制を打倒する共産主義者の革命機運が高まっていたロシアに対し、ウォール街は革命家たちを支持するよう求めていたのです。タフトがどうしても応じなかったので、ウォール街の国際金融家たちは、タフトを取り換える決意をしたのです。

・かくして、白羽の矢が立ったのが、ニュージャージー州知事のウィルソンでした。  無名のウィルソンが当選する確率は低かったのですが、思わぬ事態が起こりました。タフトの共和党が分裂したのです。セオドア・ルーズベルト前大統領が第三党から立候補しました。これによって、共和党票が分断されて、ウィルソンが漁夫の利を得たわけです。

・外から見ると、不正を見抜くことは困難ですが、ルーズベルトが出馬しなければならない必然性はありません。ウォール街に買収されていたのです。後に、フランクリン・ルーズベルト大統領の女婿のカーティス・ドールが、自著『操られたルーズベルト』(プレジデント社)の中でこの点を指摘しています。  大統領にしてもらったウィルソンとしては、ウォール街のキングメーカーたち、とりわけバーナード・バルークの意向には逆らえません。操り人形と化しました。DSによるアメリカ乗っ取りは、ウィルソン大統領の下で成就したというわけです。  

・まずは、民間の中央銀行の設立です。設立の陰謀は、ワシントンからはるか離れたジョージア州沖合のジキル島での秘密会合で決められました。参加者を見れば一目瞭然です。議会金融委員会委員長のネルソン・オルドリッチ上院議員が団長でしたが、実際の実務は以下のニューヨークの銀行家たちが取り仕切りました。彼らの名前よりも所属が重要です。 ①フランク・バンダーリップ(ロックフェラーのNYナショナル・シティ銀行頭取) ②ヘンリー・デイビソン(モルガン商会共同経営者) ③チャールズ・ノートン(モルガン系のNYファースト・ナショナル銀行) ④ベンジャミン・ストロング(モルガン系のバンカーズ・トラスト副頭取) ⑤ポール・ウォーバーグ(クーン・ローブ商会共同経営者) ⑥ピアット・アンドリュー(財務次官補)  この顔ぶれから、だれの意向で中央銀行が作られたか、容易に気づくことができます。

・彼らの背後にいたのは、JPモルガンやジョン・メーカーたち、とりわけバーナード・バルークの意向には逆らえません。操り人形と化しました。DSによるアメリカ乗っ取りは、ウィルソン大統領の下で成就したというわけです。  まずは、民間の中央銀行の設立です。設立の陰謀は、ワシントンからはるか離れたジョージア州沖合のジキル島での秘密会合で決められました。参加者を見れば一目瞭然です。議会金融委員会委員長のネルソン・オルドリッチ上院議員が団長でしたが、実際の実務は以下のニューヨークの銀行家たちが取り仕切りました。彼らの名前よりも所属が重要です。 ①フランク・バンダーリップ(ロックフェラーのNYナショナル・シティ銀行頭取) ②ヘンリー・デイビソン(モルガン商会共同経営者) ③チャールズ・ノートン(モルガン系のNYファースト・ナショナル銀行) ④ベンジャミン・ストロング(モルガン系のバンカーズ・トラスト副頭取) ⑤ポール・ウォーバーグ(クーン・ローブ商会共同経営者) ⑥ピアット・アンドリュー(財務次官補)  

・この顔ぶれから、だれの意向で中央銀行が作られたか、容易に気づくことができます。彼らの背後にいたのは、JPモルガンやジョン・D・ロックフェラーなどの米二大財閥とウォーバーグを送り込んだロンドンのロスチャイルド家でした。  このようにして作成された連邦準備制度法は、1913年12月のクリスマス休暇中、議員がほとんど不在の中で強行採決され、ウィルソン大統領が直ちに署名して成立したのです。連邦準備制度(FRB)という意味不明の中央銀行は100%国際銀行家が所有する民間銀行でした。

ウィルソンの世界に対する大罪

・これ以降、崩れるようにアメリカはDSに浸食され始めるのです。今日のウクライナ戦争の源は、ウィルソン大統領の愚策にあるのです。以後、100年以上にわたり、世界はウィルソンの大罪に翻弄されることになったのです。

・次の大罪は最高裁判所判事にDSの法律家を任命したことです。それまでの最高裁にはユダヤ系の判事は皆無でした。エスタブリッシュメントのWASPの堅固な城を突き崩すことは簡単ではなかったのです。キングメーカーに頭が上がらないウィルソンは、ウォール街の弁護士サムエル・アンターマイヤーに不倫をネタに脅迫されて、DSが望む人物を最高裁判事に任命することを約束しました。その人物とはクーン・ローブ商会の顧問弁護士ルイス・ブランダイスでした。かくして、ブランダイスは米国史上初のユダヤ系最高裁判事になったのです。

・クーン・ローブ商会とは、FRB設立を指導したポール・ウォーバーグが経営者です。ブランダイスに続き最高裁判事についた2人目のユダヤ人は、ベンジャミン・カルドーゾでしたが、彼の死後ブランダイスの甥でフランクリン・ルーズベルト大統領の側近であるフェリックス・フランクファーターが任命されました。

・9人の最高裁判事のうち2人がDSの代理人でした。ニュー・ディールの諸法案の内には違憲と判断されたものが少なからずありましたが、2人のユダヤ系判事が合憲判断を下したことは想像に難くありません。  最高裁判事から始めて、DSは次第に司法界に進出してゆきました。

・今日、トランプ大統領を何かにつけて司法の網でからめとろうとする謀略を可能にした元凶は、ウィルソン大統領だったのです。  ウィルソンが直接関与したわけではありませんが、DSのメディア支配が完成しました。NYタイムズやワシントン・ポストなどの主要新聞、三大ネットワークといわれるNBC、CBS、ABCの所有者はいずれもユダヤ系アメリカ人です。  

・以上がアメリカ1国にとどまっている限り、影響は少なかったでしょうが、DSやその代理人による欧米諸国に対する支配にまで発展していったのです。我が国も例外ではありません。現在の岸田政権はDS支配をさらに徹底しようと闇雲に突進しています。

アメリカの愛国者とロシアとの協力

・ウィルソン大統領までのアメリカにロシアが協力の手を差し伸べていたことは、意外に知られていません。米露の愛国者による協力関係は、トランプ・プーチン時代に緊密化しました。

・トランプが野に下った現在でも、両者の交流は続いていると思われます。2024年には米露の友好関係が復活することが予想されます。これについては後ほど述べるとして、ロシアのアレクサンドル1世とアレクサンドル2世のDSとの戦いに触れたいと思います。  

・先に述べたようにアメリカにおいて中央銀行創設の戦いが行われている時期、ロシアにおいてあくまで中央銀行創設を拒否したのがアレクサンドル1世でした。  ナポレオンのロシア侵略を撃退したアレクサンドル1世は、1815年のウィーン会議の一方の主役でした。他方の主役はロンドンのネイサン・ロスチャイルドでした。ナポレオンとイギリス軍とのワーテルローの戦いの結果がすべてを決めました。英軍勝利の情報を真っ先に摑んだネイサン・ロスチャイルドは、証券取引所に出向き沈痛な表情を浮かべながら、イギリス戦時公債を売り始めました。これを見て、我も我もと公債を売りに出したのです。ロスチャイルドは紙くず同然になった公債を今度は買い占めました。そこへ、英軍勝利の報が入り、戦時公債は急騰しました。ロスチャイルドは一夜にしてヨーロッパ随一の大富豪になったのです。

・ ヨーロッパ随一の富豪とは、ヨーロッパ随一の権力者を意味します。ヨーロッパを支配下に置いたネイサン・ロスチャイルドは、アレクサンドル1世に対し民間の中央銀行の創設を要求しましたが、拒否されました。それどころか、アレクサンドル1世はナポレオン戦争後の秩序として、キリスト教国が連携する神聖同盟を呼び掛け、オーストリアとプロイセンが参加しました。敬虔なロシア正教徒であるアレクサンドル1世は、戦争の根源は国家の反宗教性にあるとみなし、ヨーロッパの支配者はキリスト教の紐帯によって信頼関係を構築すべきであると主張したのです。

・このような国際秩序観は、ユダヤ教徒のロスチャイルドを刺激しました。かくしてロスチャイルドの逆鱗に触れたアレクサンドル1世は、10年後の1825年に視察先で不審死を遂げています。不審死といわれていますが、ロスチャイルドに暗殺された可能性は否定できません。

北軍を支援したロシア

・リンカーン大統領が南北戦争に勝利してアメリカの分裂が回避されましたが、正面からリンカーンを応援したのがアレクサンドル1世の甥のアレクサンドル2世でした。アレクサンドル2世は、英仏が南軍を支援するならば、それはロシアに対する宣戦布告であるとして、北軍側について参戦すると警告し、ロシア艦隊をサンフランシスコとニューヨークに派遣したのです。アレクサンドル2世は、民間の中央銀行の設立要求に応ぜず、国立の中央銀行を設立しました。国際銀行家たちを敵に回したことは明らかです。

・ アレクサンドル2世は、ロシアの近代化のために農奴を解放するなどの開明的君主でした。それ故に、ロシア内の革命家たちの標的になり、1881年社会主義革命を目指す人民主義者(ナロードニキ)に暗殺されました。アレクサンドル1世、リンカーン大統領、アレクサンドル2世の不幸な死が偶然の重なりとは考えられないのです。

トランプの挑戦

・ さて、第2次世界大戦以降のアメリカ政治は、基本的にはDSが敷いた路線の上で展開されてきました。ケネディ大統領が暗殺されたり、ニクソン大統領が辞任させられたり、レーガン大統領の暗殺未遂事件がありましたが、これら3人の大統領はいずれも大統領候補としてDSの承認を得たのち、大統領任期中にDSと利害が衝突した共通性があります。

・ケネディ暗殺の背景については既述の通りですが、ニクソンはウォール街の国際金融家たちの税務調査に手をかけたこと、またレーガンはFRBの必要性に疑問を呈してボルカー議長と議論になったことが、理由として挙げられます。

・  2016年の共和党大統領候補になったドナルド・トランプ氏は、DSが承認した候補というより、ヒラリー候補に勝てるはずがないとして見逃された候補と考えられます。それほど、ヒラリーの勝利は揺るがないと考えられていました。DS系の世論調査も、選挙民誘導の狙いもあって、絶えずヒラリーの圧倒的優位を示していました。

 ところが、蓋を開けてみれば、トランプが競り勝ったのです。ヒラリー陣営は茫然自失といったところで、勝敗が明らかになってもヒラリーは敗北宣言をためらっていました。この段階で、メディアは開票状況の報道を停止して、ヒラリーに敗北宣言を促したのです。ヒラリーが重い腰を上げたのは、翌日の明け方でした。  

 アメリカ大統領選挙の開票は、どちらかが敗北宣言をしたところで事実上終了します。それだけ、敗北宣言は厳粛な行事なのですが、ヒラリーの最後まで渋った姿勢が、後のトランプ当選を認めない民主党やメディアなどの動きとなって表れたというわけです。多数の民主党議員は、トランプ大統領の就任式をボイコットしました。大統領就任式は単に個人としての大統領の就任式ではありません。アメリカ民主主義の原点である建国精神の伝統を引き継ぐ新たなアメリカ大統領の就任を祝う神聖な行事なのです。  

 だから、トランプ支持者だけでなく、トランプに投票しなかった有権者も出席するのです。それでこそ、国家の一体性が維持されるのです。民主的な選挙で選ばれた大統領を、すべての国民が祝福するという儀式です。トランプ大統領がアメリカを分断したのではなく、民主党議員たちがアメリカを分断したのです。2020年の大統領選挙で大規模不正により数字上は敗北したトランプ大統領が、潔く敗北宣言をしないことに非難が集中しましたが、ヒラリーのケースを忘れた民主党やメディアなどの醜態でした。  

 2021年1月20日のバイデンの大統領就任式は、アメリカ民主主義の葬式のような式典でした。たかが大統領就任式くらいでアメリカがだめになるのかと訝る方もおられるかもしれませんが、先に述べたように前政権から正統性を持った大統領職の引継ぎが必須なのです。それができなかったバイデン政権は、真の意味での船出を今現在に至るも行うことに成功していません。多くのアメリカ国民はバイデン政権を信任していないからです。

 反トランプメディアが伝えるトランプの一般投票獲得数は、7400万票に上ります。これは2012年、オバマ大統領が2期目の選挙で獲得した票を1000万票近く上回っているのです。常識的に考えてみても、何も選挙運動をしなかったバイデン候補が8000万票もとれるはずがありません。郵便投票による積み増しや、ドミニオン集計機の操作などを知らなくても、感覚として何かおかしいと感じているアメリカ人が多数いるのです。

 しかし、反トランプ一色の既存メディアの前で、彼らは声を上げることはできません。たとえ沈黙を貫いていたとしても、国民の多数の心の中に拭い難い疑問がある限り、バイデン政権は国民の支持を受けることは不可能なのです。バイデン政権下におけるアメリカ社会の異常な混乱の元凶は、この不正選挙です。この不正選挙は、トランプ追放に貢献しただけでなく、アメリカ人の感情を歪めてしまいました。世界もバイデン政権の発言に、真剣に耳を傾けることが無くなったのです。アメリカ社会の正常化のためには、正当な選挙によって選ばれた大統領の就任まで、待たなければならないでしょう。

トランプのアメリカファーストとは

 トランプ当選時から、民主党もメディアもトランプ攻撃を強化しました。無事就任式を迎えられるか懸念されるほどでしたが、2017年1月20日の就任式におけるトランプ大統領の演説は、歴史に残る出来栄えと評価されます。今この瞬間から「アメリカ・ファースト」が始まると宣言して、「アメリカは世界の国々と友好と善意に基づく関係を築きますが、すべての国には自国の利益を最優先する権利があります。私たちは自分たちのやり方を他の誰かに押し付けたりはしません。輝く模範として見習われる存在になります」と世界に発信しました。  

 この演説文言は、上品な表現の中にもDSの世界戦略に対する批判が込められています。「アメリカ・ファースト、各国ファースト」は、DSの世界統一への最大の障害になるからです。世界の秩序を決めるのはDSでなければならず、アメリカ国家や世界各国であってはいけないのです。DSは「自由と民主主義」が普遍的価値であるとして、他国に押し付けてきました。この普遍的価値を共有する体制が、国際協調主義ということになっていました。

DSは国際協調秩序から逸脱したとみなした国を、容赦なく軍事攻撃してきたのです。共産主義との戦いとかテロとの戦いとか権威主義国との戦いとか、アメリカの主要メディアが、世界を洗脳してきたのです。

トランプ大統領は、すべての国が自国ファーストの原則に基づき、国民を主役とする独立主権国家として友好関係を結べばよいと訴えたのです。 DSと正面から衝突する主張でした。  

4年間、さらに退任後現在に至るまで、メディアが歪めたトランプ像を正しておく必要があります。それによって、復活したトランプ大統領の世界戦略を占うことができるでしょう。  

メディアは意図的にアメリカ・ファーストを孤立主義の表れと批判しました。既に見たように、トランプ大統領はアメリカ・ファーストの後に、必ず各国ファーストを付け加えていたのです。彼らは、いわゆるキャンセル・カルチャーの切り取りで、トランプの実像を正確に伝えませんでした。

トランプ大統領は 2019年9月の国連総会演説で、出席した世界の指導者に向かって直接訴えました。平和を望むなら、自らの国を愛せよ、賢明な指導者は常に自国民と自国の利益を第一に考えるものだ、と各国ファーストを呼びかけました。

私は国連総会での各国首脳の演説を聞いたことが何度もありますが、多くの場合、当該国の実績を披露しながら、世界情勢に対するコメントを述べるというスタイルが大半でした。コメントの中には、特定の国を批判する内容が含まれるのは普通でしたが、トランプのように、各国に対し自国民を大切にせよと求めた例は寡聞にして聞いたことがありません。従来のアメリカ大統領とは大きく異なる演説でした。  

この国連演説は、トランプ大統領の世界観を如実に示していますので、そのポイントを紹介しておきます。 ①国家の善政は愛国者のみ実現可能である。歴史に根差した文化に育まれ、伝統的価値を大切にする愛国者が未来を築くことができる。 ②愛国者こそが、自由を守り、主権を維持し、民主主義を継続し、偉大さを実現できる。 ③各国が自国を愛することによって、世界を良くすることができる。

④世界のリーダーがなすべきことは、祖国を建設し、文化を大切にし、歴史に敬意を払い、国民を宝とし、国を繫栄させ、道義性を高め、国民に敬意を払うことである。 ⑤未来はグローバリストの手中にはない。未来は愛国者にこそある。未来は独立主権国家にある。このような国家こそ自国民を守り、隣国を尊重し、各国の特性に基づく違いに、敬意を払うことができるからである。

⑥アメリカが目指すゴールは、世界の調和(ハーモニー)である。独立主権国家が自国民を愛する統治を行えば、世界は調和することができる。  

改めて解説する必要がないほど明確に、自らの世界観を伝えています。要するに、愛国主義者の指導者と国民の利害は一致すると言っているのです。この思想は日本の君民共治、ロシアの集団性体制(ソボールノスティ)と類似しています。

民主主義の下では、残念ながら指導者と国民との利害は一致するどころか、相反することが殆どなのです。問題は、指導者と国民の間に利害対立がない政治体制は存在しないと長年考えられてきたことです。  

有名なところでは、ユダヤ人思想家のジャン・ジャック・ルソーです。彼は『社会契約論』の中で、自分は君主と人民との間に利害関係のない君民共治を理想の政治体制と考えているが、そのようなものが地上に存在するはずがない。

だから、やむを得ず民主主義を選ぶ、という趣旨を述べています。君主は人民が繁栄すれば、国が強くなるはずなのに、君主はそうしないのである、世界では、およそ君主なるものは、皆国民に対しては搾取者であると見られている、と嘆いているのです。

『日本人に謝りたい  あるユダヤ人の懺悔』(沢口企画)を書いたモルデカイ・モーゼ氏は、このルソーの見解を紹介しつつ、「日本民族の持つ最大の財産は天皇制である。世界に類例がない偉大なもので、人類の理想である」とまで称賛してくれています。天皇制の本質を知った驚きとして、「地球上にユダヤ民族の理想が実在した」と告白している程です。

今日でも、絶対的な善として批判がタブー視されている民主主義なるものは、君民共治の次善の代替物に過ぎないというわけです。民主主義絶対主義者や天皇廃止論者などが、一定の影響力を保持している我が国の現状を見れば、ルソーは「正気の沙汰か」と罵倒するのではないでしょうか。  

ロシアのソボールノスティとは、国民が指導者との一体性を感じることによって、自らの存在意義を感得するという意味で、集団性と言われることもあります。ここにも、指導者と国民との利害の一致が見られるのです。

民主主義の仮面をかぶった専制主義   2024年は私たちが絶対善と信じ込まされてきた民主主義なるものが、実は専制主義であったことがわかり、世界の常識が激変する年となることが予想されます。民主主義の建前の下で、どのようにして専制支配を行うか、その秘訣は今から 100年前に公開されているのです。

第 1次世界大戦にアメリカを参戦させるため、国民の洗脳工作に従事した広報委員会のメンバーであったエドワード・バーネイズは、自著『プロパガンダ』(成甲書房)の中で悪びれずに告白しているのです。

私たちが決して忘れてはならない文句ですので、以下に引用します。「世の中の一般大衆が、どのような習慣を持ち、どのような意見を持つべきかといった事柄を、相手にそれと意識されずに知性的にコントロールすることは、民主主義を前提とする社会において非常に重要である。

この仕組みを大衆の目に見えない形でコントロールできる人々こそが、現在のアメリカで『目に見えない統治機構』を構成し、アメリカの真の支配者として君臨している」  同書が出版されたのは 1928年です。この時代にアメリカは既に大統領が真の支配者ではなかったのです。「目に見えない統治機構」こそ、アメリカの支配者だと宣言しているのです。「目に見えない統治機構」とは、読んで字のごとくディープステートのことではありませんか。

DSがアメリカの真の支配者になったのが、ウィルソン大統領の時代なのです。アメリカを裏切ったウィルソン大統領は、今でも理想主義者として高い教科書的評価を受けています。  

バーネイズが言いたかった DSの統治の仕組みは簡単です。私たちの意見は本当の自らの意見ではなく、 DSが洗脳した意見であるということです。あたかも、自分の意見のようにふるまっているだけであると、喝破しているのです。具体的には、選挙行動です。

自分の意見に基づき投票したと錯覚しているだけで、実は DSがメディアなどを使って導いた投票行動であるというわけです。そうなると、共和党、民主党という二大政党の存在意義はなくなります。二大政党の勝者はメディアが決めているのですから。

DSの十八番である「両建て主義」の意味がお分かりいただけたと思います。  そもそも両建て主義は、彼らの目に見えない支配の陰謀を隠すための手段です。現在のアメリカ政治でも、両建て主義が幅を利かせており、下院の多数を制している共和党も RINOと言われる名ばかりの共和党員が少なからず存在しています。今般下院議長を解任されたケビン・マッカーシー氏も RINOで、事実上民主党員なのです。

レーガン大統領時代には、レーガン・デモクラットが多数存在しました。  かくして、アメリカに民主政治は存在していないのです。民主主義の仮面をかぶった専制主義国アメリカが、ソボールノスティ愛国主義のロシアを権威主義国だと侮蔑している現状は、噴飯ものです。バイデン専制主義政権である限り、アメリカ国民は建国の理想を取り戻すことはできません。

 このようなアメリカ政治の欺瞞を正すべく登場したのが、トランプ大統領でした。トランプ大統領は権力欲に駆られて大統領を目指したのではありません。ビジネスマンとして成功を収めたトランプ氏は、この成功を可能にしてくれた国家の恩に報いたいとして大統領を目指したのです。であったからこそ、私情を捨て、もっぱらアメリカ国家と国民のために奉仕したのです。  

例えば、人種差別問題です。トランプ氏は黒人に冷淡だとメディアは批判しました。しかし現実は、トランプ政権下で黒人の生活水準は向上したのです。 2020年の大統領選挙の際は、黒人票が大きく伸びました。黒人だけではありません。ヒスパニックやアジア系労働者の生活水準も向上しました。

メディアが非難するように、トランプ氏は白人至上主義者ではありません。このような非難こそ、アメリカ国民を分断する悪意に満ちたものです。トランプ氏はそれまで分断されてきたアメリカ社会を、愛国精神の下に纏めようと努めてきたのです。以下の国民への呼びかけ(就任 100日を記念する集会)が如実に示しています。

「私たちは偉大なアメリカの運命を共有する一人の人間であることを思い出す時が来ました。黒色でも、茶色でも、白色でも関係なく、私たち全員に愛国者の赤い血が流れていることを。私たちはアメリカ国民です。未来は私たちすべてのものです。アメリカを再び強くしましょう」

 この一文だけでも、トランプ氏の国民に奉仕する姿勢が窺えますが、いわゆる人気取りを狙った大衆迎合主義的な政策は一切行いませんでした。大衆迎合主義的政策を行うことは容易なことです。だから、現在でも、バイデン大統領や岸田総理はじめ多くの政治指導者は大衆迎合主義に走ってしまうのです。

トランプ氏はあえて困難な道を選びました。ホワイトハウスを去るにあたっての別れのスピーチの中に、遺憾なく表れています。今でも、私の胸を打って止まない歴史に残るスピーチです。「大統領として私の最優先事項として絶えず心にあった関心事は、アメリカの労働者と家族に最大の利益を齎すことでした。安易な道を選ぶことではありませんでした。

これまでで最も困難な仕事でした。私は最も批判の少ない道を選ぶことはしませんでした。厳しい戦い、大変困難な戦い、大変難しい選択に取り組みました。なぜなら、あなた方が私をそうするために選んだからです。あなた方が求めることが、私にとって最も重要で、また屈することのない関心事でした」  

だからこそ、不正選挙で職を奪われても、アメリカ人を信用して、ホワイトハウスを去ることができたのです。

トランプ大統領は外交の達人だった

 トランプ氏はビジネスマン出身者だから、外交は素人で危険だとみなされていました。しかし、トランプの外交は大変奥の深いものでした。一貫して戦争に反対の姿勢を貫きましたが、これは臆病なハト派的発想と揶揄されるものではありません。彼は、戦争の本質を良く弁えていました。

過去にアメリカの兵士が無駄な血を流してきた歴史を繰り返すことはしないとの固い信念を持っていました。  具体的には、イラク、シリアから主力部隊を撤退させ、アフガニスタンからもタリバンとの間で撤退交渉を進めました。バイデン政権はこの成果をうまく活用することができず、 2022年に大混乱の内にアフガンから撤退したことは、私たちの記憶に新しいところです。

それはともかく、トランプ大統領の任期中には、アメリカは新たな戦争に巻き込まれませんでした。ディープステートの戦争屋としては、アメリカが戦争をする度に巨額な利益を得てきましたが、トランプの治世下では資金源を失うことになったのです。  

トランプは戦争が嫌いだから、戦争をしなかったのではありません。平和のためにはアメリカの軍事力を使うことに躊躇しませんでした。イランがよい例です。 DSはイラン危機を利用してアメリカを世界戦争に巻き込もうと工作しました。

2019年6月にアメリカ軍の偵察ドローンがイランに撃墜される事件が起こりました。トランプ大統領はイランに対し軍事的に反撃すると宣言しましたが、後に中止しました。その理由は、イランのハメネイ最高指導者が知らないうちに、革命防衛隊の中の DSの工作員が米イラン間の軍事衝突を狙って敢行したことがわかったからです。  

これには類似の前例がありました。 2015年 11月に起きたトルコ軍機によるロシア機撃墜事件でした。プーチン大統領はネオコンの工作を見抜いており、トルコのエルドアン大統領を追い詰めなかったのです。確認はされていませんが、プーチンからトランプへ何らかの情報提供があったのかもしれません。

2020年1月になってイラン革命防衛隊の精鋭コッズ部隊のソレイマニ司令官が、イラクのバグダッドで米軍の無人機攻撃によって殺害された事件と妙に辻褄が合うのです。ハメネイ氏にとってコントロールが効かなくなったソレイマニをトランプが殺害してハメネイに恩を売り、イランもトランプの深慮遠謀に応えて、アメリカとの軍事紛争を避けるようになったと解釈されるのです。  

トランプ氏の平和攻勢として特筆すべきは、中東情勢の安定化のためにイスラエルとパレスチナ自治区の間で、和平交渉を進めるべく様々な手を打ちました。エルサレムをイスラエルの首都と認め、アメリカ大使館を西エルサレムに移転しました。歴代のアメリカ大統領が大使館のエルサレム移転を公約しながら実行してこなかったのに対し、トランプは勇断したのです。  

トランプはエルサレム内の境界をどこに引くかはイスラエルとパレスチナの直接交渉で決めればよいとしており、東エルサレムまでイスラエル領と認めたわけではありません。アリカ大使館も西エルサレムの総領事館に移転しただけであって、パレスチナ側の立場を害しないように配慮しました。不思議なことに、このトランプの一連の措置に、パレスチナ側は沈黙を保ったことです。  

また、トランプはイスラエルとアラブ諸国の国交樹立に尽力しました。いわゆるアブラハム合意と呼ばれるものですが、 2020年9月 15日イスラエルとアラブ首長国連邦およびバーレーンとの間で国交が樹立され、続いてモロッコとスーダンとも国交正常化で合意しました。

これらにより、イスラエルの安全は格段に高まったと言えます。次はサウジアラビアとの正常化が日程に上っていました。  現在イスラエルとサウジアラビアの国交樹立問題が論じられていますが、あたかもバイデン政権の功績のように報じられているのには、違和感を覚えます。トランプがイスラエルの安全保障を強化するために敷いた路線なのです。

 以下で、去る 10月 7日に発生したハマスによるイスラエル奇襲攻撃を取り上げますが、トランプ大統領はネタニヤフ首相を批判しました。トランプは、イラン革命防衛隊のソレイマニを暗殺した際、ネタニヤフが難色を示したことに言及したのです。ネタニヤフが DS側であることを示唆しており、この点にハマス奇襲問題の背景を解く鍵がありそうです。ハマスによるイスラエル奇襲の背景  やはり歴史は繰り返しました。

10月 7日、ユダヤ教徒の大贖罪日に当たるヨムキプールの日に、ガザを実効支配するイスラム原理主義過激派のハマスがイスラエルにロケット弾攻撃を仕掛けました。イスラエル政府や情報機関のモサドは、ハマスの奇襲攻撃の動きを把握しておらず、 1000人以上のイスラエル人が死亡するという大惨事になったと報じられました。この報道に接したとき、私はやはり「歴史は繰り返した」との思いを強くしました。  

50年前のヨムキプール戦争、第 4次中東戦争の歴史の繰り返しです。 1973年 10月 6日、ヨムキプールの日に、エジプト軍とシリア軍が突如イスラエルを軍事攻撃しました。不意を突かれたイスラエル軍は敗退を重ね、中東戦争史上初めてアラブ側が勝利したのです。態勢を整えたイスラエル軍の反撃で、戦況は一進一退を繰り広げましたが、エジプトとシリアが押し込んだところで停戦になりました。

ヨムキプール戦争の間、 OPECは親アラブ諸国に対しては石油輸出を認めましたが、親イスラエル諸国には禁輸を実施し、世界的な石油危機が発生しました。日本はイスラエル寄りと判断されて禁輸の対象となったため、店頭からトイレットペーパーが消えるなど、日常生活を直撃しました。この騒動から数年後にキッシンジャーの回顧録を読んだ際、私は一連のシナリオを理解することができました。  

キッシンジャーは回顧録の中で、自分は情報分析に失敗したと、珍しく反省の弁を述べています。キッシンジャーがなぜ自らの失敗を認めて、わざわざ記録に残したのかが、ヨムキプール戦争のからくりを解く鍵になったのです。キッシンジャーは、エジプト駐在のソ連軍人や家族が退避を始めた理由は、イスラエルからのエジプト攻撃が迫っているからと判断した。

しかし、もしそうならソ連はアメリカに対しイスラエルに攻撃を思いとどまるよう働きがけを行ったはずだ、彼らはエジプトがイスラエルを攻撃するから退避したことに気づかなかった、と反省しているのです。  要するに、イスラエルはエジプトなどの攻撃を予測できなかったから、戦争に負ける事態になったと説明しているのですが、実態は攻撃を知っていたが知らないふりをしてイスラエルに負けさせたことを意味しているわけです。

その結果、アラブ諸国は中東戦争で初めてイスラエルに打撃を与えたことになり、自信を深めたエジプトは数年後にイスラエルを国家承認し、ここに中東和平が進展したのです。  つまり、エジプトとイスラエルが国交を樹立することにより、イスラエルの安全保障を強化する目的で、奇襲攻撃を成功させたということになります。今回のハマスの奇襲攻撃も、イスラエル側は知らなかったとの情報操作がなされていますが、何か裏があるはずです。ウクライナ戦争での DSの敗北と関連していることは、明らかです。

ウクライナから中東へ

2014年に始まったウクライナ・マイダン・クーデター後の展開が、歴史の繰り返しを示唆しています。親露派のヤヌコビッチ大統領を暴力デモで追放したディープステートの外交実践部隊ネオコン勢力は、ロシア系住民の虐殺を始めたため、プーチン大統領はロシア系住民が 7割を占めるクリミアを併合しました。これに対し、アメリカが音頭を取ってロシア制裁を発動したのです。その後、東部ウクライナで虐殺を続けていたウクライナ政府は、7月 17日、上空を飛行中のマレーシア民間航空機を撃墜して、これを親露派部隊の仕業と喧伝しました。しかし、親ロシア勢力がロシア製ミサイルを使って撃墜したとのウクライナ側の説明は矛盾が多く、撃墜された機体の損傷具合から、ウクライナ空軍機が撃墜したのではないかとの見方が強くなったのです。撃墜時の衛星写真を保有しているアメリカは、写真を公開しませんでした。  この事件の後、報道の関心はシリア情勢に移り、シリアにおけるアサド政権の非情な反政府勢力弾圧が世界の関心事になりました。その後、シリアにおけるイスラム国掃討作戦にロシアが参加し、シリアにおけるロシアの活動が注目を集めるようになったのです。ウクライナでの失敗を隠蔽するため、世界の関心を中東に向けたのです。  つまり、歴史は繰り返し、今回のハマスのイスラエル攻撃は、ウクライナ戦争での敗北から世界の関心を中東に転化した作戦ということができます。ハマスは DSが中東のトラブルメーカーとして育成しました。弱体化した DSは世界を第 3次世界大戦に巻き込むことによって、延命を図ったと見ることができるのです。しかし、今回の攻撃の背後にイランがいるとして、イランの脅威を強調している論調には注意する必要があります。イランのハメネイ最高指導者は、イスラエル殲滅を唱える革命防衛隊の過激な行動に手を焼いており、イスラエルとの戦争は避けたいと考えているからです。かつて、トランプ大統領はハメネイの立場をよく理解しており、既述の通り革命防衛隊指導者スレイマニを暗殺してあげたほどです。

ロシア・北朝鮮首脳会談の意義

ハマス奇襲を理解するために、世界の権力構造が大地殻変動を起こしたことを考慮に入れる必要が出てきます。第 2部第 1章で述べたように、9月 13日のプーチン大統領と金正恩総書記との首脳会談は、 DSが北朝鮮を手放したことを意味します。北朝鮮を世界のトラブルメーカーとして育成してきた DSが、北朝鮮の離脱を阻止できなかったのは、ウクライナ戦争敗北の結果余力が残っていなかったからと見られます。金正恩としても、北朝鮮がディープステートの駒として使われてきたことにこれ以上我慢ができなくなったものと考えられます。  トランプ大統領時代に、一連の首脳会談などを通じ金正恩は北朝鮮ファーストに傾いた様子が窺えました。残念ながら、トランプ大統領の失職などの結果、実現しませんでしたが、今回の首脳会談が 4年ぶりに開催されたことが重要なヒントになります。 4年前とは、トランプ大統領の時代でした。プーチン大統領の伝統的価値観を重視する愛国主義政策に刺激されたのだと見られます。今回の首脳会談で、ウクライナ戦争におけるプーチンの姿勢を「偉業」とまで称えたことは、単なる外交辞令を超えた信念を感じます。金正恩はロシアと事実上の同盟関係に入ることにより、北朝鮮国民のための統治を実現しようとしていると見られます。

ナショナル・ユダヤvsグローバル・ユダヤ

以上を踏まえ、今回のハマス奇襲はナショナル・ユダヤ vsグローバル・ユダヤの戦いの一環と見ることができます。イスラエル政府内に反ネタニヤフ勢力が存在しており、何かとネタニヤフのガザ攻撃を遅らせている様子が窺えるのです。イスラエルはガザ地上侵攻を行う前に、かなりの時間的余裕を与えているのです。しかも、ガザ地区の南部を攻撃対象から外し、パレスティナ人に南部への避難を呼び掛けています。つまり、パレスティナ人を攻撃するのではなく、 DSが育成し、ネタニヤフがアッバス議長を牽制するため利用してきたハマスに照準を定めています。この点に、今回の地上部隊によるガザ侵攻の真相がありそうです。ナショナル・ユダヤは将来のアッバス指導のパレスティナ国家との共存を視野に入れているのです。これこそ、ユダヤ人国家イスラエルの安全保障の強化そのものです。その際のイスラエル国家の指導者はセム族のユダヤ人であることが想定されます。アラブ人と義兄弟であるセム族のユダヤ人です。  これに対し、グローバル・ユダヤはイスラエルの安全よりも、世界戦争戦略に重きを置いていました。イスラエルを世界戦争のための駒として利用するという戦略だったと言えます。  彼らのこの方式も、ウクライナ戦争敗北で通用しなくなりました。プーチン大統領はネタニヤフ首相のパレスチナ人への態度を批判しており、仲介の用意がある旨宣言しています。トランプ大統領がネタニヤフ首相のスレイマニ暗殺作戦に反対したとの故事を今このタイミングで持ち出したことは、ネタニヤフ退陣を求める圧力とも考えられます。ネタニヤフ首相がグローバル・ユダヤに軸足を置いている限り、イスラエル国家の安全は不十分なのです。  以上のように、いま世界はグローバル・ユダヤの DSから距離を置きつつあります。グローバリズムではなくナショナリズムの時代が到来したのです。岸田総理も、早くこの現実に気づいてほしいものです。そうでなければ、バイデン・グローバル・ユダヤ政権とともに沈むことになるでしょう。

2024年の米大統領はどうなる?

 いよいよ 2024年 11月 5日に米大統領選挙が行われます。共和党はトランプ候補で事実上決まっており、民主党はバイデンが再選を目指すと発表しています。ところが、 2023年 10月になって、それまで民主党で指名争いに立候補していたロバート・ケネディ Jr(以下 RKJ)が、無所属で立候補すると宣言しました。この動きは、アメリカ政治の流れを根本から変える可能性を秘めたものと言えます。来年の米大統領選挙は、 DS支配からアメリカが脱出できるかどうかの試金石になることは間違いないでしょう。  別の視点から言えば、 1912年の大統領選挙の再来と言えます。先に見たように、この選挙は、ウォール街のキングメーカーたちがウィルソンを当選させるために仕組んだ不正選挙でしたが、しかし、今回の RKJの無所属出馬は、従来の二大政党候補による出来レース方式を覆す、革命的結果をもたらす可能性が出てきたと言えるのです。  バイデン、トランプ、 RKJの三つ巴の戦いとなった場合、 RKJがケネディ神話もあって民主党票をかなり食うことが予想されます。トランプの岩盤支持層を崩すまでにはいかないでしょうから、バイデンは大変不利になるでしょう。さらに重要なことは、 2020年のような大規模不正ができなくなることです。トランプだけでなく RKJに対しても不正を働かなければなりませんが、 DSの弱体化もあって、これは事実上不可能となりました。   1912年の三つ巴の戦いが如何にウィルソンに有利に働いたかを見ますと、キングメーカーの巧妙な計算を見て取れます。一般投票の獲得数は、ウィルソン 42%、ルーズベルト 27%、タフト 23%でした。反ウィルソン票が 50%もあったのです。 42%対 50%の差があれば、選挙人獲得数で大勝した計算になります。共和党が分裂していなければ、現職タフトの圧勝だったわけです。 2024年の戦いで、 RKJがどれだけ獲得するかは未知数ですが、 1992年のロス・ペローが参戦した大統領選挙が参考になります。  東西冷戦を終わらせ、湾岸戦争に勝利したジョージ・ブッシュ大統領は一時世論支持率 90%を謳歌していました。再選は楽勝と見られていましたが、テキサス州の大富豪ロス・ペローが無所属候補として名乗りを上げました。一般投票数で見た三者の結果は、クリントン 43%、ブッシュ 37・ 5%、ペロー 19%でした。ペローとブッシュの合計は 56・ 5%に上ります。これだけ一般投票で差が出れば、クリントンの当選は不可能でした。ペロー出馬の背景には不透明な部分がありますが、ブッシュがイスラエル人のパレスチナ地区への入植問題に消極的だったことが取りざたされました。  いずれにせよ、 RKJの無所属出馬は、特定の勢力の支援を受けたものではないので、従来の三つ巴の戦いとは違った効果が期待されます。今回の大統領選挙を契機に、民主、共和の二大政党制が崩壊する可能性が高くなりました。 DSの「両建て主義」が崩れ、アメリカ国民は真の民主的選挙を取り戻すことができるでしょう。  共和党はトランプで決まりとはいえ、これから DSが巻き返すことが予想されます。お決まりの RINOを使った揺さぶりです。早速、 RINOの有力者、デサンティス・フロリダ州知事がトランプ批判を強めています。ネオコンのブッシュ家に育てられたデサンティスは、 DSのトランプ潰しの切り札となる可能性があります。  トランプはあくまで共和党候補として選挙に臨む道を選びました。そこで、副大統領候補を誰にするかに関心が集まっています。現在のところ、アリゾナ州知事選で不正選挙のため敗れたカリー・レーク女史が有力と言われていますが、まだ決まってはいません。白人男性以外が副大統領候補になることは間違いないでしょう。  いずれにせよ 2024年の大統領選挙は世界の権力構造を根本的に変えてしまう分岐点となることは間違いありません。ロシアの大統領選挙は2月に予定されており、プーチン大統領の当選は揺るがないでしょう。 2024年こそプーチンとトランプが命を懸けて戦ってきた DSに最終的に勝利する年となることが予想されます。  不確定要素があるとすれば、中国と DSとの関係です。第 2部第 4章で分析します。

第4章 中国共産党は生き延びられるか

中国は超大国にはなれない

前著『 2023年世界の真実』(ワック)においては、「習近平体制は 2025年まで生き残れるか」とのタイトルの下に、最大の紙幅を割いて論じたほど、 2022年における習近平主席の傍若無人振りが目だっていたのです。中国共産党の一党支配は 2025年に終わると公言したのは、 DSのヨーロッパにおける広告塔のジャック・アタリでした。  アタリはその根拠を明確には示していません。ただ、どの政権も 70年以上は持たないと述べているだけです。しかし、このさりげない言葉に、中国共産党政権の歴史が刻まれているのです。結論を言えば、共産中国はアメリカ DSが作ったのです。自ら作ったものは、自ら壊すことができるというのが、アタリが言わんとしたことでした。   1949年 10月 1日の建国以来、中華人民共和国はアメリカのおかげで成立した事実に、世界は目隠しをされてきました。だからこそ、多くのチャイナ・ウオッチャーたちは中国共産党と中国市場を同一視して論じることができたのです。だから、彼らは 10年以上も前から、いまにも中国は崩壊する、中国の余命は数カ月などと論じることができたのです。しかし、彼らの予言にもかかわらず、現在に至るも中国は崩壊していません。  このように、中国に関し否定的な情報を流してきたにもかかわらず、彼らの中には中国を訪問して、その現地取材まで行える者たちも存在しています。なぜ、こんな危険なことが可能なのか、その理由を考えるだけでも、中国共産党の得意な孫子の兵法に気づくことが可能になります。  あえて述べますが、現在の我が国のチャイナ・ウオッチャーの中に、弱体中国を強調することによって、実は中国の日本浸透に油断させるという中国共産党の宣伝工作を行っている輩がいるということです。また逆に、中国脅威論を唱える輩にも要注意です。それは知らず知らずのうちに、中国に物申すことを諦めさせる効果を狙った巧妙な工作であることを見抜く必要があります。日本国民が、このような工作を見抜く知恵を持つことが、総合的な国防力強化につながるわけですから。  本書では中国共産党支配の終焉が迫っていることを論じます。しかし、そのことは巨大市場である中国が崩壊することを意味しません。チャイナ・ウオッチャーには申し訳ありませんが、中国は滅びないのです。 10月 29日付産経新聞は、中国経済の不調に関し識者の見解を掲載していますが、その中でアメリカン・エンタープライズ研究所上級研究員のデレク・シザーズ氏は、長期的にはともかく、現在の中国経済に差し迫った危機はないとして、不動産問題は経済への重荷だが、政府が金融をコントロールできるので、リスクではないと強調しています。   2024年以降の問題は、だれが中国という巨大市場を支配するかであって、これから中国市場の支配を巡り中国国内で様々な権力闘争が行われることになりそうです。この権力闘争の行方を左右するのが、 DSの動向です。 DSは勢力が弱ったとはいえ、最後の砦である中国を軽々に手放すとは考えられません。むしろ、中国を DS側に留めるために、現在卑屈とも思える姿勢で中国にすり寄っているのです。最近の一連のバイデン政権閣僚の中国詣でや、習近平主席とバイデン大統領との首脳会談の実現を画策する動きからは、中国におけるビジネスチャンスを失うことだけは避けようとの必死な思いが透けて見え、かえって DSの黄昏を感じてしまいます。来る 11月中旬にサンフランシスコで行われる APEC首脳会議の際に、米中首脳会談が実現する運びになりましたが、アメリカ側が守勢であることが、改めて明確になりました。  中国脅威論が依然として根強い昨今ですが、 DSにとって最後の砦である中国は、決して超大国にはなれないという事実を読者の皆様と共有しておきたいと思います。この点は極めて重要で、中国脅威論を唱える輩は中国があたかも超大国であるかのように宣伝していますが、ためにする工作のにおいが抜けません。意図的か無意識かに拘わらず、孫子の兵法に言う「戦わずして勝つ」洗脳を行っていると見られるからです。  昨今の台湾有事論にも、この視点がすっかり抜けています。アメリカの戦略国際問題研究所( CSIS)のシニアアドバイザーで歴史学者のエドワード・ルトワックは、中国が超大国になれない理由に食料を自給できない点を挙げています。加えて、中国はエネルギーも自給できませんから、米露に並ぶ超大国にはなれないのです。前述したジャック・アタリも中国は超大国になれないと断言しています。中国は大国としてふるまうには根本的に脆弱なのです。中国共産党の宣伝工作の目的が、この弱さを隠すことにあると見ることが必要です。経済的に巨大化したため、周りから大国としての度量を求められていますが、中国はこの要求に応じることは不可能なのです。  この制約から考えると、台湾侵攻はないことが容易に考えられます。たとえ台湾に軍事介入したとしても、食料とエネルギー不足から、台湾内の中国軍を持ちこたえさせることができないわけです。  このような兵站上の隘路よりも、台湾侵攻が起こらない根本的な理由があります。 1950年のアチソン国務長官演説によって、台湾はアメリカの防衛線の外に置かれたのですから、この時点から中国のものなのです。習近平にとっては今更台湾に軍事侵攻しても、もともと中国のものだと DSが認めているのですから、自分の手柄にならないのです。現在、我が国ではあたかも台湾有事が差し迫っているかのような議論が行われていますが、一方でウクライナに対する DSの支援を応援しながら、台湾有事が迫っていると騒いでいる魂胆は、我が国の軍事費の増額を求めるための姑息な口実と見られても、仕方ないでしょう。日本有事については、最終章で論じる予定です。

毛沢東も蒋介石も同罪

中華人民共和国を作ったのは DSですが、アメリカ人の多くは、台湾の蔣介石は民主主義者であると誤解しています。この傾向は、現在では中国人の生活水準が上がれば、おのずと民主化に向かうであろうとの儚い誤解に繫がっています。中国の指導者はすべて人民を搾取する独裁者なのです。人民の側も自分たちを愛してくれる指導者が出るとは全く期待していません。期待どころか、そのような発想すらないといったほうが適切でしょう。中華帝国 5000年の歴史は、独裁者皇帝と搾取される人民の歴史であったのです。  第 2次大戦後に勃発した国共内戦を検証すれば、中国がこの歴史の桎梏から逃れることができない宿命にあることが、改めて明白になります。習近平後の中国を占う視点からも、毛沢東と蔣介石が人民搾取の観点で見れば同罪であったことを十分弁えて議論する必要があるのです。  そこで、中華人民共和国の生みの親であるアメリカのジョージ・マーシャル陸軍参謀総長と蔣介石の軍事顧問アルバート・ウェデマイヤーの確執から見てゆきます。ウェデマイヤーは回顧録『第二次大戦に勝者なし』(講談社学術文庫)の中で、マーシャルが毛沢東に甘かったと指摘しつつ、疲れていたから判断を誤ったのだろうと、上官を一応擁護しています。  ウェデマイヤーの前任者のジョセフ・スティルウェルはマーシャルが任命しました。スティルウェルは蔣介石の軍事顧問でありながら、アメリカのニュー・ディール派と同様、中国共産党は中国に民主主義を齎す勢力であると称賛する一方、蔣介石一派は米国が支援した武器で日本軍と戦わず、民主主義勢力の共産党と戦っていると批判していました。蔣介石顧問という立場を無視し、蔣介石よりも毛沢東を評価するスティルウェルが蔣介石の要求で解雇されたのは当然のことでした。スティルウェルを任命したマーシャル将軍が何のお咎めも受けていないことに、闇の深さを感じます。

ファシズムより共産主義の方が巨悪

ウェデマイヤーは、マーシャルを弁護しつつも、共産主義の方がファシズムより巨悪であるとして、ヒトラーと戦争するためにスターリンと組んだルーズベルト大統領を批判しています。ということは、ルーズベルトの下で戦争指導に当たったマーシャル将軍を間接的に批判していることになります。自らの回顧録の中では、マーシャルを正面から難詰することは避けましたが、真意はマーシャルが間違っていたことを指摘したことになります。その間違いが故意だったのか、それとも偶然だったのか。おそらく故意であったとウェデマイヤーは考えていたのでしょうが、当時のトルーマン大統領の下ではマーシャル批判を控えざるを得なかったものと推察します。  このウェデマイヤーの姿勢は、先に朝鮮戦争の項で述べたマッカーサーの疑問に通底するところがあります。なぜ、アメリカ政府の最高指導部は共産主義と戦うことに積極的でなかったのか。ウェデマイヤーの疑問は、蔣介石の軍事顧問という立場を超え、多くのアメリカ人の疑問でもあったはずです。  実際、マーシャル将軍は国民党へのアメリカの武器援助の実施を故意に遅らせ、蔣介石に共産軍との停戦と連立政権の樹立を主張しました。このため、せっかく満洲で毛沢東の共産党軍を壊滅寸前にまで追い詰めていた蔣介石は仕方なく停戦し、共産党の延命に道を開いたのです。マーシャルがこのような行動をした背景として、共産主義シンパであったとか、コミンテルンのスパイに騙されたとかの解説は、説得力がありません。トルーマン大統領の背後に強力な勢力が存在していたと考えることによって、縺れた糸が一つに繫がるのです。

マーシャルとソ連

 そのヒントは、ソ連外相アンドレイ・グロムイコの回想録(既出)に見出すことができます。マーシャル将軍はソ連にとってヒトラーと戦った同志ではありましたが、戦後は西ヨーロッパ復興のマーシャル・プランの創設者として、共産主義の拡大を防止した好ましからざる敵対者と映っていたはずです。ところが、グロムイコはマーシャルを評価しているのです。「ジョージ・マーシャルの重要性は、テヘラン、ヤルタ、ポツダムの各会談に参加した事実からわかる」として、アメリカはマーシャルの権威のおかげで戦場で勝利することができた、マーシャル・プランの目的は、資本主義を安定させ、社会主義化を阻止することだった、マーシャルは NATO創設のリーダーとなり、国防長官として政治経歴を終えた、と縷々述べた後、「マーシャルには外交官のモーニングコートも軍服もともによく似合ったようだ」と、マーシャルは政治家としても、軍人としても立派だったと褒めているのです。つまり、マーシャル将軍はソ連の信頼できる仲間であったと示唆しているわけです。  もちろん、アメリカの中にもマーシャルの胡散臭さに気づいた人がいました。赤狩りで有名なジョゼフ・マッカーシー上院議員です。彼は 1951年に『共産中国はアメリカがつくった』(成甲書房)を出版しましたが、その中で、グロムイコだけでなくスターリンもマーシャル将軍を称賛していたと述べているのです。マッカーシーによれば、当時のバーンズ国務長官が自著『率直に語ろう』( Speaking Frankly)の中で、「スターリンはマーシャル将軍を称賛して、中国問題に決着をつけられる人間はマーシャル以外にはいないと言った」との個所を引用して、「スターリンは正確にはこう言ったかもしれない。自分が満足できるようにと」と続けています。いずれにせよ、スターリンもグロムイコも、国共内戦時の処理をマーシャルに任せていたことが窺えます。マーシャルがソ連の意向に沿った解決をしてくれるとの信頼からです。  マッカーシーはもう一つ重要なことを語っています。それは、南京戦に敗れた蔣介石を重慶まで逃し、日本と最後まで戦えと圧力をかけたのはアメリカだと公言していることです。太平洋や極東の米軍を倒すために日中は停戦すべきだとの日本の申し出を、無視せよと蔣介石に嗾けたのはアメリカなのだ、だからアメリカは蔣介石には借りがあるというのが、マッカーシーの考えでした。

ウェデマイヤーが呆れた蒋介石支援

ウェデマイヤーは 1945年 11月に中国での任務を終え帰国しました。彼が蔣介石に提出した報告書には、驚愕すべき内容が書かれていました。トルーマン大統領には、駐留アメリカ軍を早期に撤兵させるよう圧力がかかっていると述べた後、アメリカの中国政策として次のように説明していました。 ①蔣介石政府が共産党軍の制圧に乗り出したら、蔣介石政府への支援を打ち切る。 ②アメリカ政府は中国軍同士の争いに関与しない。 ③毛沢東軍に対抗する蔣介石政府の活動も支援しない。 ④蔣介石が共産党征伐を進めれば、蔣介石への支援を停止する。 ⑤中国に統一政府を要求する。  ウェデマイヤー帰国後、トルーマン大統領特使として中国に赴いたマーシャル将軍が、これらの方針に従い蔣介石を敗北させたことは、記述の通りです。なお、ウェデマイヤーにはもう一度巻き返すチャンスが巡ってきました。共産中国の危険を警告した報告書は、なぜか国務省が握りつぶしたため、日の目を見ることはありませんでした。たとえ、報告書が公表されていても、大勢を動かすことにはならなかったと思われます。トルーマン政権の共産主義に対する甘い姿勢が第 2次世界大戦後のアメリカの基本方針でした。  日本と戦うときにはアメリカの全面的な支援を受けていた蔣介石ですが、国共内戦時にはアメリカの世論そのものが蔣介石や妻の宋美齢に対し、手のひらを返したように冷淡になっていたのです。蔣介石に同情したくなるのが人情かもしれませんが、蔣介石も中国人民を搾取することにおいてはひけをとりません。  その例の一つが、 1935年 11月の支那幣制改革でした。中国民衆が保有していた虎の子の銀を吐き出させて、代わりに蔣介石政府の紙幣と交換させたのです。いうまでもなく、蔣介石政府紙幣など何の価値もありません。加えて、交換比率が銀 1に対し紙幣はわずか 0・ 6でした。価値のない紙幣の方が高く評価されたという、子供だましのような荒業でした。そもそも、このような荒業を考え付くこと自体、人民は搾取の対象でしかあり得ない、中国指導者による人民支配の伝統に基づくものだったとみられるのです。この幣制改革を利用して、上海ユダヤ財閥のサッスーンはイギリス市場で銀を売り捌いて、巨額の利益を得ました。蔣介石や、彼の後ろ盾であった宋子文一族も同様にイギリス市場で銀を売却して、巨利を得たのです。イギリス市場の銀価格は中国の 1・ 8倍でした。中国民衆から取り上げた銀をイギリス市場で売却すれば、労せずして 2倍近く儲かったわけです。哀れなことに、中国民衆はこのからくりを知ることはありませんでした。国共内戦でアメリカが後ろ盾の毛沢東に敗れた蔣介石に、同情する気持ちはありません。当然の報いと言いたくなります。  この儲け話には、アメリカのユダヤ財閥もかんでいました。ウィルソン大統領を操り、 DSのアメリカ乗っ取りを画策した張本人、バーナード・バルークです。『操られたルーズベルト』の著者カーティス・ドールは、バーナード・バルークとの会話を残しています。 1933年のことですが、バルークは世界に流通している銀の 16分の 5を保有していると語ったのです。ところが、その後「アメリカ連邦議会が銀購入価格を 2倍に値上げする許可を財務省に与えた」とのニュースを聞いて驚いたと、ドールは述懐しています。この結果、アメリカの銀価格は 2倍に高騰し、バルークが大儲けしたことは多言を要しません。当時の中国は銀本位制でした。大量の銀が中国市場から流出して、蔣介石政府は財政危機に陥りました。ここで、前述した幣制改革が行われたのです。米、中、英のユダヤ財閥が蔣介石と協力して、中国人民を収奪したのです。  外国勢力と手を組んで中国人民を搾取するパターンは、現在の習近平政権の下でも繰り返されています。誰が中国の指導者になっても、人民は搾取の対象でしかないのです。残念なことではありますが、これが中国という巨大マーケットの真実です。現在、落ち目の DSが、何としてでも中国市場だけは手渡さないと中国指導部との連携に努めているのは、自分たちの利益のためには他人を搾取しても心が痛まない発想を共有しているからです。

中国人とロシア人は水が合わない

さて、ウクライナ戦争勃発以降、中国の対露態度が注目を集めており、「中露の蜜月」などと言った過激な報道が行われています。果たして中露はそのような関係にあるのでしょうか。経済力で圧倒的な優位にある中国が、ウクライナ戦争で疲弊しているロシアを内心では見下しているとか、対露制裁下にあるロシア経済は中国の支援なしには成り立たない等々の報道がメディアを賑わせています。しかし、先に見たように、中国は超大国にはなり得ないのです。とすれば、如何に超大国ロシアが現在苦境にあるとしても、超大国でない中国の軍門に下ることはあり得ないのです。エネルギーと食料を自給でき、中国の 30倍ほどの核弾頭を有するロシアが、委縮して中国のご機嫌をうかがうことは考えられません。  中露関係を見るとき、この現実を絶えず考慮に入れておく必要があります。参考になるのは、中華人民共和国成立後の最初の毛沢東とスターリンの会談です。毛沢東は 1949年 12月から 50年の2月までの長期間にわたりソ連を訪問し、中ソ同盟条約が締結されました。グロムイコは、晩餐会に並んで座った両首脳の間でほとんど会話が行われず、たまに交わされた会話も大変ぎこちないものであったと回想して、「二人には必要最小限の接触をするだけの共通した個人的性格が欠けている」との印象を吐露しています。「前夜の両巨頭の間には大して心の通い合いがなかった、というのが翌日の同志たちの意見であった」し、毛沢東の滞在中、ずっと同様の雰囲気だった、と振り返っています。  中国人とロシア人(スターリンはグルジア人ですが)は、水と油のごとく性格が合わないのです。通常、自分より弱い相手には高圧的態度をとり、強い相手には遜る中国人が、現在ロシアに対して高圧的態度を控えているのは、ロシアの真の実力を見越しているからと考えられます。ウクライナ戦争で中立を保っている習近平を批判しているアメリカや日本のメディアは、中国から軽く見られているのでないかと思われます。

安倍元総理が喝破した「習近平は共産主義者ではない」

私たちは中国共産党総書記の習近平を共産主義者と見る傾向にありますが、習近平は共産主義者ではありません。リアリストなのです。現在の中国を見るうえで、この点は極めて重要です。習近平と長きに亘り関わってきた安倍総理は『安倍晋三回顧録』の中で忌憚ない習近平評を語っておられます。以下そのポイントです。 ①中国の指導者と打ち解けて話すのは、自分(安倍氏)には無理だ。 ②習近平は首脳会談を重ねるにつれ、徐々に本心を隠さないようになってきた。 ③習近平は、もし自分が米国に生まれていたら、米国の共産党には入らず、民主党か共和党に入党すると言った。政治的な影響力を行使できない政党では、意味がないということだ。 ④建前上、中国共産党の幹部は、共産党の理念に共鳴して党に入り、その後、権力の中枢を担っていることになっている。 ⑤習近平発言からすれば、彼は思想信条ではなく、政治権力を掌握するために共産党に入ったということになる。従って、習近平は強烈なリアリストである。 ⑥中国首脳にとって、日本とあまり近づくことは、危険である。胡耀邦総書記は、首脳会談において中国共産党の人事にまで言及するほど、中曽根首相と緊密な関係を築いていたが、その後失脚した。 ⑦習近平の振る舞いの変遷を振り返ると、彼は昇り竜だったが、孤独感はすごくあると思う。独裁政権はある日突然倒されるのだから、習近平が感じているプレッシャーの大きさは、我々民主主義国家の首脳の想像を超えている。彼らは、政敵を倒し続けないと生き残れない。  以上の中で、重要なのは ③と ⑤です。要するに、習近平は政治権力にあこがれているのであって、共産主義者ではなくリアリストである、との指摘です。これこそ、多くのチャイナ・ウオッチャーに欠けている視点で、メディアの洗脳に簡単に篭絡されてしまうことになるのです。

異形国家・中国を敬遠しよう

 以上の安倍総理の見解は、いずれ来る習近平なき後の中国を予想する上で、大変参考になります。中国という市場を誰が支配するかというのが、ポイントです。おそらく、 1920年代の 9カ国条約時代の状況に戻るのではないかと考えられます。中国国内では次期皇帝を目指した権力闘争が跋扈し、各国は中国市場の独占を阻止するために、虚々実々の駆け引きを行うといった構図です。習近平がいつ失脚するかは予想が困難ですが、それによって中国そのものが大きく変わることにはなりません。中国はいつになっても皇帝が人民を搾取することによって国が成り立つ宿命にあります。問題は、中国人自身がこの宿命を打破すべきだとは考えていないことです。世界の異形国家中国はいつまで経っても変わらないのです。  私たちは、この前提の下で、中国との付き合い方を考えなくてはなりません。黄文雄氏が強調するように、「敬遠」は一つの選択肢です。中国の脅威に備えつつ、中国には深く関わらない、という軸を失わずに、日本の舵取りを行うべきです。

最終章 あとがきにかえて

どうする、岸田総理岸田文雄総理への手紙

拝啓  岸田文雄内閣総理大臣閣下  黙っていられなくなって、ここに一筆申し上げます。  岸田総理、今日は日本のどの部分を破壊されましたか?  国民の多くが岸田政権のことを売国政権と揶揄しているのは、当然ご存じですね。しかし、馬耳東風、何も反応しない岸田政権の厚顔ぶりに、私は言葉を失っております。  大東亜戦争終了後から今日までの 78年間、歴代総理の実績を振り返れば、失政や左翼イデオロギーに染まった政策など、数々見られましたが、意図的に国民に敵対し、日本そのものを破壊した総理大臣は、岸田さん、あなた以外にはいませんでした。  岸田さん、いったい何を恐れているのですか?  関心はご自分の政治生命の維持だけなのですか?  政界に打って出られた時、命を懸けて国家と国民を守ろうという、崇高な使命感を持って、永田町入りされたのではなかったでしょうか。  声なき国民は、たとえ好き嫌いはあったとしても、日本の総理たるもの、最後は国民を守ってくれると信じているのです。聖徳太子の 17条の憲法にあるように、国民は「詔を受けては、必ず謹む」のです。上からのお達しには、必ずそれに従うという DNAが流れています。  文豪・森鷗外が、短編『最後の一句』で書いているように、「お上のことには、間違いはございますまいから」、国民は総理を信じているのです。これまで破壊に努められたことをすぐに取り戻すのは、時間的に無理があるかもしれません。  しかし、岸田総理、政治家としての人生の終わりを迎えるにあたって、せめて国民に対する最初で最後のご奉公として、国民のために命をささげていただきたい。  それが、これまでの日本破壊という国民への裏切りを、贖うせめてもの誠意ではないでしょうか。私たちは、総理の最後の誠意を信じます。総理のなさることには、間違いがないはずだからです。  岸田総理、僭越ながら以上を申し述べて、本書のあとがきとしたく存じます。 2024年以降、日本が生き残れるか否かは、岸田総理、あなたの人間としての決断にかかっているのです。一刻も早い決断を切にお願い申し上げます。私のひとり語りに耳を傾けてくださいまして、本当にありがとうございました。

岸田政権の日本破壊の数々  

ところで、読者の方々の中には、岸田総理の日本破壊政策を信じられないと感じておられる方も、少なくないと思います。そこで、岸田政権の最近の日本破壊の例を、 LGBT法と移民問題に絞って検討します。  日本の破壊とは、我が国の伝統的価値観を悉く無視して、グローバリスト連中に日本を売り渡している政策です。問題は、無意識に実践しているのではなく、唯々ディープステートの指示通りに動いていることです。そこに、大和心のかけらも感じられません。グローバリズムという漢心に絡めとられた政権の虚ろな姿です。グローバルな交流が当たり前の今日の世界において、我が国のグローバル化を図る政策が必要としても、日本という軸がなければ漂流するだけになってしまいます。軸を喪失した現在の日本は、国難の真最中にあります。以下、国難の正体に迫りたいと思います。

LGBT問題の罠  最近の例として挙げられるのは、 LGBT理解増進法の制定です。 G7広島サミットへのバイデン大統領の出席を人質に取られ、法案の内容を十分詰めないままあわただしく国会に提出され、野党案と合体して成立させました。   LGBT問題は個人の性嗜好という最もプライベートな分野にかかわる問題であるだけに、そもそも法律をもって個人の嗜好を一定の枠にはめてしまうことは、何と弁解しようとも、個人の生き方そのものに対する挑発です。差別のなかった日本に強制的に LGBT被害者を仕立て上げ、正常なマジョリティとの対立を法律によって固定化したのです。自称 T(トランスジェンダー)に対して女性の権利を守るための諸施策の必要性が云々されること自体、この法律が無理筋であることを証明しています。結局温泉旅館など現場レベルに降ろされて、混乱を招くことが既に目に見えています。  いやしくも個人の自由な生き方が憲法上の権利として保証されている我が国においては、 LGBT法は憲法に抵触する恐れのある重大問題なのです。にもかかわらず、日ごろ人権にうるさい左翼政党の国会議員たちは、今回なぜ沈黙を保っているのでしょうか。 LGBT法の懸念の一つは、教育現場における混乱です。少なくとも、小中学生に LGBT教育を施すことは学校側と保護者との間に軋轢を生む可能性が高いでしょう。 LGBT教育を巡って、社会の分断が進む危険が予想されます。憲法が保証する正当な教育を受ける国民の権利が侵害されることになるのです。  注目すべき点は、 LGBT法は異次元の少子化対策を打ち出している岸田政権の目的と真っ向から矛盾することです。アメリカの過激黒人団体「 Black   Lives   Matter」(ブラック・ライブズ・マター)は綱領で LGBT、とりわけ Tを重視しており、その理由はアメリカ人にヘテロセクシャル(異性愛)に対する関心を萎えさせることにあると謳っています。つまり、子供を作ることに関心を無くさせることです。巧妙な人口削減策の実施なのです。岸田政権は少子化対策といいながら、現実には少子化推進策を実行しようとしているのです。この深刻な矛盾に岸田政権は気づいていないように見受けられます。気づいていないというより、気づく必要がないとみているのかもしれません。 LGBT法が少子化を促進することになるかもしれないと考えることを、頑なに拒否しているように思えてなりません。さらに言えば、両者の関係を正面から取り上げることは、国民の身になって考えることを意味するので、日本を破壊するためにはそのような迷いがあってはいけないと、自らに言い聞かせておられるのでしょう。このように、頭から国民を愚弄しても、良心が痛まないとするなら、私たちの想像を絶する強心臓をお持ちなのかもしれません。  国民の側もこの矛盾に鈍感な様子です。言い方を変えれば、国民が岸田政権の破壊工作に気づいていないからこそ、好き勝手に日本の破壊に専念することができるのかもしれません。だとするなら、国民として破壊工作を阻止するための方策は、ただ一つ、岸田さんの魂胆を見破ることです。 2024年を平穏の内に迎えるためには、私たちの気づきが決定的に重要なのです。

移民という名の日本乗っ取り作戦  

LGBT法と並んで日本を破壊している政策は、移民問題です。メディアで盛んに人手不足が報道されていることが大変気になります。例えば、小中学校の教員の不足です。しかしちょっと考えてみれば、最近少子化のため生徒数が減ってきており、小中学校の統廃合が進んでいます。にもかかわらず、なぜ学校で教員不足なのでしょうか。生徒数減少に伴い、新規採用者を抑制してきたからというのが表向きの説明ですが、いかにも苦しい言い逃れに聞こえます。外国人の教員を採用しろとの世論作りを狙った姑息な手段とみなさざるを得ません。また、大学進学者の数が減っているのに大学数が増えていることも矛盾しています。  これらの人手不足を補うために、予備軍たちが観光客を装い現在大挙して我が国を訪れています。コロナ禍が一段落したので外国人観光客の受け入れを開始したとの政府の説明は、本質を隠すものです。最近の報道によれば、 2023年9月の国別訪日客数トップ 5は、韓国( 26・ 1%)、台湾( 11・ 6%)、中国( 10・ 1%)、米国( 7・ 2%)、香港( 6・ 9%)となっています(日本政府観光局)。観光のためには事実上ビザが不要ですから、いわば誰でも訪日が可能です。問題はこれらの訪日客のうち観光が終わっても帰国しない連中がいることです。彼らは、日本で何をしようと考えているのか。多分就職でしょう。これには、岸田政権の後押しがあるからです。  例えば、品川駅の遊歩道には、「共生社会の実現のため、外国人の雇用に協力してほしい」との垂れ幕が掛けられていました。外国人の雇用は労働ビザで入国したもののみ可能ですが、要するに不法滞在外国人を積極的に雇用するようにとの政府のお達しと解釈することが可能です。つまり、政府自らが、不法滞在を奨励しているのです。岸田政権は賃金の安い不法滞在者に職を奪われている日本人勤労者の境遇を考えたことがあるのでしょうか。もしこのような不法滞在者が前述した教員不足などの埋め合わせをすることになれば、日本の教育は徐々に外国人不法滞在者の教員に蹂躙されて行く恐れが高いでしょう。

国難への対処法  

かつて日本は少なくとも 3回深刻な国難に見舞われました。第 1回目は紀元 1、 2世紀ごろの儒教伝来です。当時文字を持っていなかった日本人は中国語が日本文化を席巻する恐れを感じて、儒教文献を日本語読みするという離れ業を発揮して、孔孟の教えを日本化しました。次に、 6世紀になって仏教が伝来しました。我々の先祖は、本地垂迹説によって、天照大神は大日如来と同じものだと理解して、仏教を日本化して受け入れました。私たちの大宗は日本人が開祖のお寺の檀家に属しています。  このような歴史を回顧して、芥川龍之介は我が国が固有の文化を破壊される国難を「造り変える力」で克服してきたことを例示しながら、 1549年のフランシスコ・ザビエルの日本上陸から始まった一神教文明であるユダヤ・キリスト教の「破壊する力」に対し、日本文明を守るために「造り変える力」を発揮するよう呼びかけました(『神神の微笑』)。芥川龍之介が、いわゆるキリシタン物といわれるユダヤ・キリスト教の問題点を鋭く描いた短編集の中で『神神の微笑』を世に問うたのが 1922年でした。当時の日本は、自由主義、民主主義、社会主義、それに共産主義など外来思想に翻弄されており、ユダヤ・キリスト教文明の「破壊する力」が猖獗を極めていました。危機感を覚えた芥川は『神神の微笑』を書いて、日本人に伝統的知恵に目覚めるよう呼びかけたのです。  この本は、キリスト教の布教が日本古来の霊力の抵抗にあっていることを明らかにした短編です。その中で、安土桃山時代に布教に来ていた実在の神父オルガンティノに日本での布教が困難を極めている苦悩を告白させます。そこへ、古来日本を守護してきた老人の霊が現れ、日本人の伝統的力について説教します。日本人はたとえキリスト教に表向き帰依しても、それはあくまで日本化したキリスト教なのだ。日本人は仏陀の教えにも帰依しているが、インド仏教ではなく日本人が開祖になっている仏教だ。だから、デウスも仏陀のように日本人化する宿命にある。日本を守護している霊は、何処にでも、また何時でもいるとオルガンティノに警告して去ってゆきました。  芥川は日本人なら「破壊する力」を日本の伝統精神に合うように造り変えて、日本を守ることになるだろうと確信していました。デウスが勝つか、日本の古代霊が勝つか、 1922年年の段階では決着がついていないが、やがて日本人自身が決着をつけるだろうと後に続く私たちに希望を託しました。芥川龍之介は、同じキリシタン物で、『おぎん』という短編を残しています。『おぎん』は日本人の「造り変える力」の源泉が先祖崇拝にあることを強調しました。江戸時代、キリシタン禁止令のさなか、キリシタンである養父母に育てられたおぎんは、ある日養父母と共に刑場に連行されました。火あぶりの刑の執行前に、転向の機会を与えられたのです。火あぶりを覚悟し、キリストの下に行くことができるとあくまで転向を拒否した両親に比し、転向すると宣言したのがおぎんでした。おぎんは、その理由を説明して、縛られた角柱から生みの両親が眠る墓場の松の木を見たとき、キリスト教を知らなかった両親は、地獄に落ちているはずだが、自分一人が天国に入ったのでは申し訳が立たない。そして、二人にともに地獄へ行こうと説得して、養父母も棄教したという話です。この短編は、先祖に対する敬愛の思いが、キリスト教が約束した天国よりも重要だったことを明らかにしています。フランシスコ・ザビエルなど当時の宣教師たちの報告書には、キリスト教に改宗したキリシタンに対し、キリスト教を知らない先祖は、皆地獄で苦しんでいると説明すると、彼らは悲しそうな表情になるとの記録が残されています。  芥川龍之介は、『おぎん』において、私たちの伝統的宗教感情がキリスト教を凌駕していることを強調したかったのです。先祖に繫がる家族愛の強さです。日本社会が安定していたのは、先祖崇拝が大切に守られていたからです。  さて、上に見た LGBT法や移民は先祖崇拝という宗教的感情を無視するものです。つまり、家族の絆を破壊することが目的なのです。なぜなら、家族の紐帯を断絶すれば、独裁支配が可能となるからです。プーチン大統領が事あるごとに家族の重要性を強調しているのは、かつてのロシア革命時のごとき伝統的価値の破壊は国民を不幸にすることを、身にしみて感じているからなのです。  我が国においては、「造り変える力」と「先祖崇拝」が大和心を守ってきたと言えます。  芥川龍之介が 1922年に後に続く私たちに託した希望が、岸田政権になって思いもよらなかった方向転換を遂げました。岸田政権は、ユダヤ・キリスト教文明側についてしまったのです。つまり、古代霊が追い払おうとした「破壊する力」の権化になってしまいました。ここに、日本は日本で無くなったのです。岸田政権が日本人の政権でないことが、この点でも証明されます。岸田政権は日本の伝統的価値観を完全に破壊する政策を臆面もなく実践しています。 LGBT法や移民奨励に加えて、 2024年には選択的夫婦別姓問題が俎上に上るでしょう。

国民は自衛を

 このような日本破壊政権に対し、私たち国民に残された手段は政府を当てにせず、自ら自衛する道を選択することです。これは決して孤独な戦いではありません。実は、そのヒントを示して下さったのが、田中英道・東北大学名誉教授による「日猶同化論」です。既に紀元前 10世紀の縄文時代からユダヤ人たちは日本列島に渡来していましたが、彼らは縄文日本人の生き方に共感して、そのまま日本に同化してゆきました。  その後も数回にわたりユダヤ人たちは渡来し、日本に彼らの痕跡を残しつつ、居つくようになったというわけです。彼らは日本文化の高度化に貢献しました。古墳群や神社などは彼らの残した遺産といえます。また、現在の日本人の 9分の 1がユダヤ人の血を引いているそうです(田中英道『日本にやって来たユダヤ人の古代史』文芸社)。つまり、現在の日本人のうち約 1400万人がユダヤ人系だとすることも可能です。  これは、日本が世界で最大のユダヤ人系の国であることを意味しています。イスラエルは 1000万人以下です。アメリカのユダヤ人は 500万人前後にすぎません。しかも、彼らの大宗はディアスポラ・ユダヤ人で、国家を認めないグローバリストの人々です。しかし、これからは前述したハマス・イスラエル戦争に見られるように、戦争指向のグローバリズムが廃れ、国民を大切にするナショナリズムが世界の潮流となるでしょう。世界最大のユダヤ人系国家日本と 2位のイスラエルという二大ナショナリズム国家が連携すれば、世界に大きなインパクトを与えることになるでしょう。トランプ大統領の「『アメリカ・ファースト、各国ファースト』に基づく世界の調和」、プーチン大統領が依って立つ「ソボールノスティ集団政体」とともに、世界に平和が訪れることになるはずです。とかく、特別視されがちのユダヤ人に対し、彼らが持つ普遍性の側面に世界の関心が向けられることが、予想されます。  芥川龍之介は、日本人の多くがユダヤ人との混血であることには気づいていませんでした。だから「造り変える力」がユダヤ・キリスト文明の「破壊する力」にいずれ勝利すると確信していたのです。しかし、田中説によれば、日本列島が持つ強力な同化力がユダヤ人を日本人に造り変えてしまっていたのです。 1922年の当時において、日本は既にユダヤ・キリスト教文明に勝利していたと言えるのです。  これこそ究極の歴史修正主義です。今後は、この歴史的事実を世界に発信することが求められます。発信が世界に受け入れられるためには、私たち自身が、日本の伝統的統治形態である「君民共治」を実現し、世界の師表となる必要があります。  君民共治とは、天皇陛下の権威を一方に戴き、他方に民による権力行使を可能にする政体です。権威と権力の二権分立ではありますが、単なる分立ではなく、民もまた天皇陛下と同様の権威を備えた存在であることが重要なのです。この点を、国語学者の山田孝雄氏は、文部省編『肇国の精神』の中で、日本の祭祀共同体精神は、私たちが我が国を神国とする自覚に基づくとして、以下の通り論じておられます。「この神国観は、この国が神から生まれたということを基として起こる思想であるが、神を祖として生まれたその子は当然神と本質を同じくするものであらねばならぬ。即ちこの国においては国土・国民・君主三者みな神の処生であり、その神の正系を伝えたまうが天皇であらせられると確信している。ここに天皇の現人神であらせられることは勿論であるが、国土も神格を有し、国民も神格を有すると考える」  つまり、君民共治とは、祭祀共同体の精神に基づく統治体制のことなのです。したがって、たとえ権力の行使に従事していても、神と本質を共にする権力行為なのです。やっと私たちは、 2024年以降何を目指すべきか、その課題にたどり着きました。私たち一人ひとりが、神の子孫としてこれから生きてゆくことです。これが、惟神の道なのです。日本人に生まれたことを感謝して、各々が神の子としての使命を発揮してゆきましょう。そうすれば、 2024年以降、我が国に黄金の時代が訪れることになるでしょう。

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この記事を書いた人

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