▶ https://youtu.be/3-DahnI0tJM
■ 3行でわかる
① 松井証券の対談企画「MATSUI SUMMIT」後半で、中島聡氏、ものづくり太郎氏、野村泰紀氏が5〜10年後の世界のトップ企業を予想し、中島氏はGAFAMで勝ち残るのはアルファベットだけで、テスラとスペースXは合併するとの見方を示した。
② 中島氏は、スペースXの宇宙データセンターをすべてエヌビディア製GPUにする代わりに、エヌビディアがテスラの巨大半導体工場に出資する提携が水面下で進んでいると読み、ものづくり太郎氏はメモリー不足で存在感を増すサムスンや、データセンターの電力・水インフラに注目する。
③ 宇宙での計算には放射線や高熱に強い半導体が必要で、日本人が開発した超低消費電力メモリー「MRAM」がゲームチェンジャーになりうるとし、日本は人手不足を自動化とフィジカルAIで解決すべきだと議論を締めくくった。
動画の概要
松井証券のYouTube企画「MATSUI SUMMIT」第二弾の後半。エンジニアで投資家の中島聡氏、製造業・半導体に詳しいものづくり太郎氏、理論物理学者の野村泰紀氏が、成田修造氏の進行で「5年後・10年後の世界のトップ企業」と「今注目の技術」の2つのテーマを語り合っている。※企業の将来予測や提携の見立ては出演者個人の見解であり、投資判断の推奨ではありません。
主なポイント
1. 5〜10年後の世界の序列
- 野村氏はGAFAMがトップに居続け、エヌビディアがさらに上に行くと予想。中島氏はエヌビディア、アルファベット、スペースX、テスラ、防衛ベンチャーのアンドゥリルを挙げた。ものづくり太郎氏は、中国テック企業が世界のトップ層に入り、CPO(光電融合)やMRAMを握る企業、重工業インフラが核心になるとみる。
- 中島氏は、マグニフィセント7の中で君臨し続けるのはアルファベットで、テスラはスペースXと合併せざるを得なくなると予想。メタは巨大なユーザー基盤を持ち、AIグラスが普及すればアップル、グーグルとの戦いになる。マイクロソフトはOpenAI、アマゾンはAWSを持ち、簡単には消えないとした。
- アンドゥリルについて中島氏は、1機数十万〜100万円の安価なドローンを数億円のミサイルで撃ち落とす米国の戦い方は続かないと指摘。ドローンは戦争を変えたとし、日本のF35大量購入は「時代遅れ」だと述べた。
- OpenAIとアンソロピックも強いとし、中島氏は月200ドルのアンソロピックのプランを使いこなす人はまだ0.2%しかおらず、AIはまだ入り口にすぎないと語った。
- データセンターのボトルネックはGPUよりも電力と水(冷却用)で、水インフラ企業が覇権を握る可能性もあるとものづくり太郎氏は指摘した。
2. 中国テックと地政学のブロック化
- ものづくり太郎氏によれば、2026年6月に中国の半導体国家ファンドがDeepSeekに約1兆円規模を出資し、AIが国家の争いになった。中国独自のAIは米国に半年ほど遅れで肉薄しており、安価なエネルギーと、内陸で計算して東部に戻す「東数西算」の国家プロジェクトも強みだという。
- トランプ政権は米国の研究機関の研究者が中国の研究機関の研究者と共著論文を書くことを禁じる案を出したが、野村氏は「通らないだろう」とみる。米中のブロック化は避けられず、貿易は中国、防衛は米国に依存する日本は大きな影響を受けると議論した。
3. サムスンとエヌビディアの弱点
- ものづくり太郎氏は、DRAM、HBM、フラッシュといったメモリー技術を握るサムスンが強いとみる。メモリーは今後3〜5年は不足が続く見込みで、エヌビディアもGPU「Vera Rubin」でメモリーの搭載数を減らす方向にあるという。
- エヌビディアのGPUは画像処理から発展した汎用品で、AIの推論に最適化されていない。SRAMを載せたGroqを約3兆円で取り込んだのも、その弱点を自覚しているからだと指摘した。
- 中島氏も、汎用のGPUは専用チップにはかなわず、AIモデルへの投資額が巨大になった今は各社が自前で半導体を作ってくると語った。
4. エヌビディア×スペースXの水面下の提携?
- 中島氏の読みでは、マスク氏は当初、宇宙データセンターにテスラ製AIチップも載せるとしていたが、最近「すべてエヌビディアで行く」と発表した。同時に巨大な半導体工場の建設を決め、そこにエヌビディアが出資するとの噂もある。
- エヌビディアはTSMCの供給不足で作れないことがボトルネックになっており、テスラの工場でGPUを作り、その代わりにスペースXが打ち上げるのはすべてエヌビディアのGPUにする、という話がついていると中島氏はみる。マスク氏は宇宙にテラワット級のデータセンターを作る構想を掲げている。
5. 次のゲームチェンジャーは「MRAM」
- 宇宙では宇宙線による半導体の誤作動が起き、放射でしか冷やせないため、150度程度に耐え、放射線に強い半導体が必要になる。
- MRAMは電子のスピンを使い、超低消費電力で電源を切っても記憶を保持できる。グーグルのFitbitに採用され、アップルウォッチの2日に対して2週間ほど電池が持つという。
- ものづくり太郎氏は、ラピダスの東哲郎会長やMRAMを開発した遠藤哲郎教授から、宇宙で実証試験をしていると直接聞いたと紹介。TSMCのプロセスでも採用されたとみられ、AIチップへの搭載が始まる時期が近いと語った。
6. AI×科学と未来の産業
- 野村氏は、AIによる創薬や医療技術が大きく進むと予想。AI研究者のデミス・ハサビス氏がノーベル化学賞を受賞したように、AIが24時間あらゆる科学研究を加速させており、アルファベットは創薬の会社も設立した。アンソロピックも生物学や物理学の出身者が率いており、「AI for Science」の進展は速いという。
- 長期的には核融合とエンターテインメントの時代が来るとの見方や、農業の自動化、日本の農業・職人技のデジタル継承、あらゆる物にチップが載るIoT時代の到来についても議論した。
まとめ・結論
少子高齢化で介護や職人技の継承が課題となる日本こそ、介護ロボットなどを国が支援してでも押さえるべきだ、と出演者は語る。中島氏は「外国人を増やすならロボットを増やせ」と述べ、ものづくり太郎氏は、フィジカルAIや造船、半導体など政府が示した17分野に民間がしっかり乗ることが重要だとした。野村氏は、ブロック化する世界でどう立ち位置を取るかは国民が政治家を育てることにかかっており、急速に進化するAIに諦めずについていくことが大切だと締めくくった。
▶ 元動画を視聴する(松井証券_MatsuiSecurities)

