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3行でわかる
① トランプ政権がICC(国際刑事裁判所)の組織本体に対し、米国内資産の凍結、ドル決済の禁止、米国人・米国法人による資金やサービス提供の禁止を含む制裁を発動し、180日間の猶予期間を設けた。
② 茂木外相の大臣メッセージは「深く懸念」としつつも「ICCや締約国が課題に対処し適正な運営がなされることが重要」と記しており、長谷川幸洋氏は日本がローマ規程の見直しに向けた「撤退戦」を始めたと読み解く。
③ 仏アクサがICC職員の医療保険を10月1日で打ち切るなど、銀行・保険会社は二次制裁を恐れて離れつつあり、日本は分担金の送金すら難しくなる中で、米国が納得する着地点をまとめられるかが問われている。
動画の概要
ジャーナリストの長谷川幸洋氏が、トランプ政権によるICC本体への制裁の中身と、それに対する日本外務省の反応を解説。ICC設立の経緯やダブルスタンダードを振り返りながら、日本がICCを支援し続けることの現実的な困難と、ローマ規程の改正という着地点を展望する。
主なポイント
1. ICC本体への制裁の中身
- これまでの赤根智子所長らへの個人制裁に加え、今回はICCの組織そのものが対象
- ICCの米国内の預金・資産を凍結し、米金融機関が関与するICC関連の送金・ドル決済を原則禁止
- 米国人・米国法人による資金提供や商品・サービスの提供も原則禁止
- 米財務省OFACの一般許可により、180日間は運営に必要な取引、通信・ソフトウェア・クラウド、年金支払いなどの一定の取引は認められる
2. 外務大臣メッセージに読む「撤退戦」
- 高市首相はXで「深く懸念」と投稿し、ICCが本来の機能を果たせるよう必要な支援を行うと強調
- 一方、茂木外相のメッセージは「ICCが普遍的な裁判所として信頼に足るためには、ICCや締約国が課題に対処し、適正な運営がなされることが重要」と記述
- 長谷川氏は、これは米国批判ではなく「ICCは現状適正ではない」という認識の表れで、日本が米国と正面から対立する気はないことを示していると分析
- 中国・ロシア・北朝鮮に囲まれ、韓国に次いで世界で2番目に危ない日本が、安全保障を担う米国と喧嘩できるはずがないと指摘
3. ICC設立の経緯と日本の判断ミス
- クリントン政権のオルブライト国務長官が、紛争ごとに特別法廷を作るのではなく恒久的な裁判所をと推進した
- 当時の外務省の担当課長は、米国人が逮捕されかねないと危険性を指摘していたが、その後の外務省幹部が参加を推し進めた
- 背景には、国連常任理事国になれない中での国際機関トップのポストへの思惑があり、最大の分担金拠出国として日本が所長ポストを得た
- 米国はクリントン政権で一度署名したものの、共和党政権で撤回し、以来一貫してICCに反対している
4. 機能しないICCとダブルスタンダード
- ICCには実力部隊がなく、プーチン大統領に逮捕状を出しても、締約国のモンゴルは訪問時に逮捕しなかった
- タジキスタンやカンボジア(いずれも締約国)からウイグル人が中国に強制送還された件で弁護団が申し立てたが、検察局は証拠不十分などとして取り上げなかった
- 北朝鮮による拉致問題についても、被害者家族の訴えに対応していない
5. 送金できない現実
- 国際送金は最終的にニューヨークでドル決済されるため、日本の銀行が二次制裁のリスクを負ってICCへの送金を引き受けるとは考えにくい
- 仏保険大手アクサは10月1日付でICC職員向け医療保険を終了(フィナンシャル・タイムズ、ロイターが報道)。ICCは新たな保険会社に切り替えたが、社名は公表していない
- 日本や英仏独加など8か国の外相がICC支持の共同声明を出したが、銀行や保険会社は株主への責任で動くため、政府の意向だけでは解決しない
- 米国の制裁は、ICCの元判事であるピレイ氏のノーベル平和賞受賞決定の直後に発表されており、トランプ氏の怒りが背景にあるとの見方も
6. 着地点はローマ規程の改正
- 米国が最も問題視しているのは、締約国の領域内で起きた犯罪なら非締約国の国民も訴追できるというローマ規程の規定
- アフガニスタンでの米軍・CIAによる捕虜虐待疑惑が問題になったのもこの規定が根拠
- 該当条文の削除・改正、または実質的な骨抜きがない限り、トランプ政権は妥協しない
- 125の締約国の取りまとめを、米国との関係が最も重要な日本が主導できるかが問われている
まとめ・結論
長谷川氏は、外務大臣メッセージからは日本がすでにICCをめぐる「撤退戦」を始めていることが読み取れると結論づける。180日の猶予期間内に、茂木外相がルビオ国務長官と連携し、欧州をはじめとする締約国をまとめて米国が納得するローマ規程の見直しを実現できれば、それは「ポスト高市」への大きな実績になるとの見方も示した。
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