目次
3行要約
- 厚生労働省が新型コロナワクチンのスパイクタンパク質に関する約1,200本の論文をレビューし、事実上すべてを根拠不十分として退け、結論は「ワクチンは問題ない」となった。
- ウイルス学者の宮沢孝幸氏は、この国の見解が裁判で引用されるため被害者側は「戦いようがなくなった」「もう鉄壁だ」と危機感を示す。
- 一方で小林製薬の紅麹問題では死亡疑い5名で大臣が徹底究明を表明しており、宮沢氏はダブルスタンダードだと批判している。
詳細要約
厚労省による1,200文献レビューの中身
- 約1,200本のうち、ヒト由来の検体で実際にスパイクタンパク質を検出した研究は30本程度にとどまる。
- 残りは他の研究を引用したものや動物を用いたもので、オリジナルの人体データではない。
- その30本前後についても「欠落がある」として退けられ、全体として「問題なし」という結論になった。
研究者から見た論文評価の妥当性
- 症例報告はそもそも統計的な議論ができず、ネガティブコントロールを置いていない研究も多い。質の低い論文が混じっているのは事実だと宮沢氏も認める。
- 一方で、患者から採血したり剖検組織を凍結切片にして抗体を当てるなど、しっかりした研究も存在する。
- 宮沢氏が長年信頼してきた『Circulation』誌の論文は、心筋炎を起こした人の血中に抗体と結合していない遊離スパイクタンパク質が多く流れていたことを示し、厚労省の格付けでも最高ランクだった。それすら最終的に否定された。
裁判への影響
- 宮沢氏はこの論文を根拠に、スパイクによる被害を訴えることは「デマ」ではないと反論してきた。
- 被害者遺族が国を相手取った訴訟でも、同論文は毎回提出してきた主要な根拠だった。
- 国の見解として文献群が退けられると、裁判官はそれを引用するため、争点そのものが成立しなくなる。
- 「国の見解をひっくり返さないとだめだ」「もう僕たちはなす術がない」と宮沢氏は述べる。
ワクチン由来スパイクと感染由来スパイクの扱いの違い
- 新型コロナウイルスのスパイクに毒性があることは、ワクチン推進派自身が接種を呼びかける根拠として主張してきた。
- ワクチンで作られるスパイクは安定性を高めるため、S1とS2が切れにくくなるよう構造が変えてある。
- 国側はこの構造の違いを理由に「ウイルスのスパイクと同じとは言えない」として退ける。
- 宮沢氏は、ではなぜ構造が違うと毒性がなくなるのか科学的に説明し、そのエビデンスを示してほしいと反論している。
因果関係の証明が事実上不可能な理由
- 組織は死後すぐに心臓を取り出して凍結切片にしなければ検査にならないが、人では死後数日たってからの解剖になり、タンパク質も組織も壊れてしまう。
- 動物実験で示せば「人ではない」、試験管内の実験で示せば「試験管内だ」と退けられる。
- 厳密に証明しようとすれば生体を犠牲にする実験が必要になり、倫理的に不可能。つまり永久に証明できない構図になっている。
- 同様の構図はADE(抗体依存性感染増強)でも起きており、試験管内で感染増強が確認されても「試験管内だから」で退けられてきた。
国会答弁と紅麹問題との落差
- 河野太郎担当大臣(当時)はスパイクタンパク質が2週間ほどでほとんど消えると説明していたが、1年以上残存するという論文が複数出ている。
- 国会でこの点をただしても、福岡厚労大臣からは「残存と副反応の因果関係が示されたものではない」という答弁が返ってくる。
- 一方、小林製薬の紅麹問題では死亡が疑われる5名について大臣が「原因を徹底的に究明する」と表明している。
- 宮沢氏は、生物学は「ほぼ確からしい」を積み上げる学問であり、完全証明を求める運用は不可能を要求しているに等しいと指摘。厚労省自ら実験を組むべきであり、1,200本を否定した委員は誰なのかと問うている。
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