▶ https://youtu.be/pgWZqPGgSWg
■ 3行でわかる
① 前駐オーストラリア大使の山上信吾氏が、高市首相の初の国連総会演説を「サプライチェーン強靱化・平和への貢献・法の支配」の3本柱で整理された分かりやすい演説だったと評価した。
② 米国の制裁に触れずICC・ICJ・国際海洋法裁判所への一貫した支持を示した点や、中国が持ち出す旧敵国条項の撤廃と安保理改革を正面から訴えた点を、効果的な反論・メッセージとして高く評価している。
③ 一方で、ロシアや北朝鮮は名指ししながら中国に一言も触れなかったことは「演説で落ちていること」として問題視し、来年の演説では中国の名指しを恐れるべきではないと注文をつけた。
動画の概要
外交官チャンネル第73回。外務省で約40年のキャリアを持つ前駐オーストラリア特命全権大使・山上信吾氏が、高市早苗首相が首相として初めて臨んだ国連総会での一般討論演説を、外交官の目線から評価しています。演説で語られた内容とともに、「語られなかったこと」にも注目した解説です。
主なポイント
1. 国連総会演説の重み
- 国連総会の一般討論は年に一度、190以上の加盟国の首脳級が一堂に会する唯一の場
- G7やG20、APECと違い、アフリカ・中南米・中東など普段付き合いの少ない国にも日本の考えを伝えられる貴重な機会
- 山上氏自身、1985年の国連40周年で中曽根首相の演説を現地で手伝った経験があり、その熱気を振り返った
2. 3本柱で整理された分かりやすい構成
- エネルギーや重要物資のサプライチェーン強靱化
- 国際社会の平和と安定への日本の貢献
- 法の支配の重視
- 構成が整理されており、分かりやすい良い演説だったと評価
3. 法の支配とICCへの言及
- 米国による赤根智子ICC所長への制裁問題を念頭に、米国や制裁にはあえて触れなかった
- そのうえで、ICJ(国際司法裁判所)、ICC(国際刑事裁判所)、ITLOS(国際海洋法裁判所)の3つを一貫して支持し、日本から判事を輩出していると表明
- 米国との対立を際立たせずに日本の立場をしっかり示した、効果的な言及だったと分析
4. 旧敵国条項の撤廃と安保理改革
- 国連憲章53条などの旧敵国条項は、日独伊などへの軍事行動に安保理の許可が不要とも読める時代錯誤の規定
- 1995年と2005年の国連総会決議で「死文化」が確認され、中国も賛成していた
- その中国が「日本は旧敵国だ」と歴史戦を仕掛ける中、高市首相が撤廃を正面から訴えたのは効果的な切り返しだと評価
- 日独印伯(G4)が追求してきた安保理改革についても、1945年時点の戦勝国5カ国が拒否権を持つ構成は現在の国際情勢を反映していないと明言した点を評価
5. 中国に一言も触れなかったという「欠落」
- 産経新聞のベテラン記者が、ロシアや北朝鮮は名指ししながら中国に言及がないと指摘
- 外交官は「演説で落ちていることにも目を光らせろ」と訓練されると山上氏は説明し、この指摘に同意
- 法の支配を説きながら、南シナ海の仲裁判断を「紙くず」と無視した中国に触れないのは不自然
- 渡航危険度の引き上げや駐大阪総領事の追放もせず、国連演説でも中国に触れないのでは「真正保守政権」と言えるのかという批判を、正面から受け止めてほしいと述べた
- 外務省のいわゆるチャイナスクールの意見が通った可能性にも言及
まとめ・結論
山上氏は、高市首相の国連演説を全体としては構成も内容も優れたものと評価しつつ、「スペードをスペードと呼ぶ」ことが外交では大切だと強調します。中国の台頭がもたらす脅威に最前線で向き合う日本が言わずして、どの国が言うのか――余計な喧嘩をする必要はないが、中国が旧敵国条項を持ち出して日本を威圧する中で日本だけが遠慮している場合ではないと、高市政権への期待を込めて提言しています。
▶ 元動画を視聴する(外交官チャンネル〜山上信吾10minutes〜)

