▶ https://www.youtube.com/watch?v=GpEn9t1NTeE
■ 3行でわかる
① リーマンショックを的中させたエコノミストの朝倉慶氏は、AI関連企業は実際に利益を上げており、株価の上昇には業績の裏付けがあるため「AIバブル」ではなく、データセンター投資は鉄道や高速道路のように全国へ広がり始めたばかりだと語る。
② 一方でジム・リカーズ氏の著書『AIクラッシュ』をもとに、AIが偽動画や見出しに1000分の1秒で反応して一斉に売る市場崩壊、ネット送金で一気に預金が流出する銀行破綻、AI同士の判断が加速して人間が止められなくなる「フラッシュ・ウォー」という3段階のリスクが示された。
③ 朝倉氏は、個人投資家は余裕資金で投資し、パニック時も慌てず待てることが強みだとし、AIを使わない選択肢はない時代に、電力や水の不足といった課題も踏まえてリスクと付き合うべきだと説く。
動画の概要
ジャーナリストの須田慎一郎氏と眞鍋かをり氏がMCを務める「東京オフレコヘッドライン」第22回。ゲストにエコノミストの朝倉慶氏を迎え、ジム・リカーズ氏の著書『AIクラッシュ 人工知能が世界経済を壊す』を題材に、AIがもたらす金融・銀行・安全保障のリスクと、AI関連投資の行方について議論しています。
主なポイント
1. AIの登場で増えるリスク
- 吉野家ホールディングスやHIS(パスポート情報)など、企業の情報漏洩が1か月ほどの間に相次いでいる
- AIによってシステムの脆弱性が次々に突破され、海外では中国製AIのDeepSeekを悪用したサイバー攻撃の自動化も確認されている
- AIは世界を豊かにする救世主か、それとも禁断の果実か、というのが今回のテーマ
2. リスク1:金融市場の崩壊
- AIで作られたFRB議長の偽動画が拡散した場合、AIトレーダーはそれを信じて瞬時に売り注文を出しかねない
- 高速取引は1000分の1秒を争うため、記事の中身を読まず見出しだけで反応し、ファクトチェックの前に相場が動いてしまう
- 2023年には国防総省付近の爆発を装ったAI生成とみられる偽画像で、S&P500が一時約0.3%下落した
- 朝倉氏は、偽情報は確認されればすぐ回復するが、背景が分からない不安は増幅しやすいと指摘。1987年のブラックマンデーも、コンピューター取引の暴走が売りを呼んだ例だという
- 余裕資金で投資していれば、パニック時も「目をつぶって待てる」のが強みだと眞鍋氏の姿勢を評価した
3. リスク2:銀行の破綻
- AIが「この銀行は危険」と判断して預金者に一斉に通知すれば、送金アプリで短時間に大量の預金が流出する
- 2023年3月、米シリコンバレー銀行は1日で420億ドルの預金が流出して破綻した
- 昔の取り付け騒ぎは行列ができる間に日銀が資金を用意できたが、今は風評が出た時点で手遅れになる
- 金利が上がると、銀行が持つ国債などの債券価格が下がり、含み損を抱える。日本のメガバンクはリスク管理ができているが、地方の信用金庫や信用組合には潜在的な問題があるという
4. リスク3:安全保障と「フラッシュ・ウォー」
- 1983年、ソ連の早期警戒システムが「米国からミサイル5発」と誤警報を出したが、ペトロフ中佐が誤報と判断して報復を防いだ
- 現在はウクライナ戦争などでAIとドローンの連携が進み、米パランティアのシステムも実戦で使われている
- AIが「攻撃の兆候あり」と判断すれば先制攻撃に傾き、相手国のAIも反撃準備に入る。AI同士の判断が加速し、人間が止められなくなる恐れがある
- 敵が使えば自国も使わざるを得ず、AIを使わない選択肢はもはやない
5. 「AIバブル」は崩壊しない?
- 1980年代末のバブルは株価指標がすべて割高だったが、今は企業業績が伸びて株価が上がっており、バブルではないと朝倉氏は断言
- データセンターは明治の新橋〜横浜の鉄道のように、これから全国に広がっていく段階で、日本にはまだ本格的なものが一つもない
- データセンターの半導体は4〜5年で入れ替えが必要で、需要は繰り返し生まれる。自動運転やフィジカルAIはまだ本格的に登場してもいない
- 秋田では総額2兆円規模の国内最大級のAIデータセンター計画が2030年代前半の稼働を目指して進んでいる。重要なのは電力の確保だという
- 高市政権もAIを17の戦略分野の一つと位置づけ、国として投資を進めている
6. 電力と水という課題
- データセンターは大量の電力を使うため、地域の電気代が上がり、米国では住民の反対も起きている
- さらに深刻なのは冷却に使う水の問題で、日本は水が豊富なことも進出の理由になっている
- 環境負荷の問題が出ても、中国など他国との競争から降りられない国家戦略のため止められないという
- 電力確保のため、高市政権が進める核融合炉への投資を朝倉氏は「いい戦略」と評価した
まとめ・結論
AIは市場の暴落や銀行破綻、さらには戦争の暴走まで引き起こしかねないリスクを抱えていますが、もはや使わない選択肢はありません。一方で、AI関連の投資は業績に裏付けられた「始まったばかりの成長」であり、バブルではないと朝倉氏は語ります。個人投資家は余裕資金で投資して慌てず待つこと、そしてAIのリスクを理解したうえで防衛しつつ共存していくことが大切だ、というのが番組の結論です。
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