▶ https://youtu.be/BOnVbB5TnSQ
■ 3行でわかる
① 9月30日、ドバイ発テルアビブ行きの民間機で、オマン人とされる副操縦士が刃物で機長を切りつけて機体を墜落させようとし、コックピットに突入したイスラエル人乗客らが取り押さえた。
② 中東研究者の高橋和夫氏は、イスラエル便の操縦士は同国と国交のある国の市民に限られるはずなのに国交のないオマンの操縦士が乗務していた点や、厳しい保安検査をくぐって刃物が持ち込まれた点など、不可解な点が多いと指摘する。
③ ネタニヤフ首相は、自らが対ハイジャック特殊部隊の出身で、兄をエンテベ作戦で失った経歴と事件を重ね、10月27日の総選挙に向けて利用していると野党から批判されている。
動画の概要
放送大学名誉教授で中東研究が専門の高橋和夫氏と、先端技術安全保障研究所(GIEST)所長の小沢知裕氏による国際情勢解説番組。2026年10月2日の収録で、9月30日にドバイ発テルアビブ行きの旅客機で起きたハイジャック未遂事件について、事件の経緯、不可解な点、そしてネタニヤフ首相による政治利用を解説している。
主なポイント
1. 事件の経緯
- 9月30日、イスラエル人乗客を多く乗せたドバイ発テルアビブ行きの民間機で、操縦席の2人のうち、オマン人とされる副操縦士が刃物でもう1人を切りつけ、機体を墜落させようとしたとされる。
- 負傷したパイロットがなんとかコックピットの扉を開け、イスラエル人乗客が突入して副操縦士を取り押さえた。
- その後については情報が錯綜しており、乗客が急降下する機体を安定させ、たまたま乗り合わせていた別のパイロットが操縦を代わって無事に着陸させたと伝えられている。
- イスラエル側は、副操縦士がある段階でイスラム過激派の思想に染まったと説明している。
2. 説明のつかない2つの点
- イスラエルに飛ぶ便の操縦士は、イスラエルと国交のある国の市民に限られるとされる。オマンとイスラエルには国交がなく、なぜオマン人の操縦士が乗務していたのかが疑問だ。
- イスラエル発着便の保安検査は非常に厳しく、操縦士とはいえ刃物を本当に持ち込めたのかも疑問が残る。
- 中東では「イスラエルの偽旗作戦だ」という陰謀論も広がっている。高橋氏は陰謀と決めつけることはできないとしつつ、警備に落ち度があったことは間違いないとみる。
3. ネタニヤフ首相の政治利用
- ネタニヤフ首相は帰還した機体と乗客を大歓迎し、「ユダヤ人はいつも攻撃されるが、最後は強い」というメッセージを発信した。
- 首相自身、兵役時代はハイジャック機に突入する特殊部隊に所属し、犯人との銃撃戦で負傷した経験がある。
- 兄は1976年、ウガンダのエンテベ空港に連れ去られたエールフランス機の乗客を奪還した作戦で戦死している。
- 「一族は国民を守るために命を捧げてきた。安全保障は私に任せよ」という物語を事件に重ね、選挙運動に利用していると野党は批判している。
4. ハイジャック犯と警備の「知恵比べ」
- 現在、イスラエルの航空機をハイジャックするのは極めて難しい。検査が厳しいうえ、乗客に紛れて武装した治安当局者が何人も乗っているためだ。
- サダム・フセイン時代のイラク航空も同様の警備を行っていたと、高橋氏は自身の体験を振り返った。
- 旧ソ連では「何があってもコックピットは開けない」体制を敷いていたが、警備員を装ったハイジャック犯にコックピットを乗っ取られた事例もあった。今回は副操縦士が犯人だった時点で、ある程度の防御はくぐり抜けられていたことになる。
まとめ・結論
事件には不可解な点が多く、詳細が明らかになっても陰謀論は次々に出てくるだろうと高橋氏はみる。陰謀論をかいくぐって真相を突き止めるには、新しい情報を丁寧に追うことが必要だ。10月27日のイスラエル総選挙、11月3日の米中間選挙を控え、事件が中東情勢にどう影響するのかが注目される。なお高橋氏は、11月15日に埼玉県川越市で、両選挙後の情勢を踏まえた講演を予定している。
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