【AI失業 28年卒から影響?】高市政権に“緊急提言”のワケ|米国ではジュニア層の雇用が20%減|仕事は減る?増える?統計予測がズレる背景|リスキリング支援を急げ【安野貴博】【文藝春秋PLUS 公式チャンネル】

▶ YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=ERoAJPMg3_k

目次

■ 3行でわかる

① チームみらい党首の安野貴博氏は、米国ではソフトウェアエンジニアやコールセンターなどのジュニア層の雇用が2022年から最大20%ほど減ったと指摘した。日本でも新卒採用は27年卒から影響が出始め、28年卒で大きく変わり得ると警告している。

② 10月26日に木原官房長官へ出した提言では、3本柱を求めた。海外事例を参考に兆候を捉える「センサー」の強化、需要のある分野へ人を移すリスキリング支援、ベーシックインカムに近い所得連動型給付の枠組みの整備である。

③ AIに奪われにくい仕事は、フィジカル・法規制の壁・共感の壁・人間とAIの協働の4つだとした。統計に現れる前にシナリオを立て、先回りで備えるべきだと訴えた。

動画の概要

文藝春秋PLUSの番組「非エンジニアのためのAI入門」の後編です。チームみらい党首でAIエンジニアの安野貴博氏をゲストに、AI失業の問題を取り上げています。チームみらいは10月26日、AIの普及に伴う雇用の激変と失業リスクに備えるための提言書を、木原稔官房長官に提出しました。まだ雇用統計に表れていない「未来の危機」に何ができるのかを語っています。

主なポイント

1. なぜAI失業問題に注目するのか

  • 日本では全産業が人手不足で、労働統計にもまだ変化はない。しかし特定の職種では今後すごい速さで状況が変わり得る
  • シリコンバレーのAI研究者自身が「自分たちの賞味期限はあと1年ほど。その後はAIの方がAIを作るのがうまくなる」と語っていた
  • 数学の世界では、AIが流体力学の難問など未解決問題を次々に解いている。PhDの学生を取るのをやめた数学者も出てきた
  • 米国の研究によると、ソフトウェアエンジニア、コンタクトセンター、リサーチャー、コンサルなどのジュニア層では、2022年から最大20%ほど雇用が減った

2. 仕事は減るのか、増えるのか

  • ジェボンズのパラドックス:産業革命で石炭の効率が10倍になったとき、石炭でできる仕事が広がり、総消費量はむしろ増えた
  • ソフトウェア分野では同じことが起き、AI化の仕事の需要が一時的に増える可能性がある。一方、需要が大きく変わらないコールセンターでは失業が起きやすい
  • 「AIに教える仕事など新しい仕事ができる」という見方もある。しかし、その規模はこれまでの需要と比べて圧倒的に小さく、吸収しきれるかは怪しい
  • この1年で、AIは表計算・財務モデリング・契約書レビューなども人間並みにこなせるようになってきた

3. 政府への提言:3本柱の対策

  • センサーの強化:海外事例を参考に高い解像度で調査・分析し、兆候をいち早く掴む
  • アップスキリング・リスキリング:公的な職業訓練などを拡充し、需要のある分野へ人を移していく
  • 生活を支えるインフラ:社会保障国民会議で議論されている給付付き税額控除(所得連動型給付)の枠組みを整え、パラメーターを変えればベーシックインカムに近づけられるようにしておく
  • AI失業が起きるときは効率が上がって企業が儲かっているはずなので、その利益を財源に回せる。起きなければ枠組みをそのまま温存すればよい
  • 新しい技術を壊して変化を拒んだラッダイト運動のようなやり方は、歴史上成立したことがない。技術を良い方向に使うことに力を注ぐべきだ

4. 人手不足と解雇規制:日本と米国の違い

  • 日本では、ある産業では人が余り、隣の産業では足りないという「モザイク状」の偏りが生じそうだ。労働移動がうまくいけば吸収できる可能性がある
  • 解雇規制が厳しい日本では変化がゆっくり進む。その反面、グローバル競争では企業に不利になり得る
  • 個人的な仮説として、一定の解雇規制の緩和と、人を多く雇う企業への税優遇をセットにしてバランスを取る案を示した
  • 30年働いた人にとってリスキリングは相当大変だ。だからこそ早く始め、時間をかけられるようにすることに意味がある

5. AIに奪われない仕事の4つの条件

  • フィジカル:物を持つ、操作する、現場に行くといった仕事は、フィジカルAIの普及まで時間がかかる
  • 法規制の壁:医療行為や法律サービスなど、人間にしか認められていない仕事
  • 共感の壁:AIの方が強くても、人は藤井聡太と羽生善治の対局のような人間同士の勝負に熱狂する。接客や営業でも、人間であることに価値が生まれる
  • ケンタウロス状態:チェスで1990年代にAIが人間を超えた後も、10〜15年ほどは「人間+AI」のチームの方が強かった。AIが発展途上の分野では、人と組んだ方が勝てる
  • 次にAIの性能が上がったとき、自分の会社や職種が「嬉しい」か「悲しい」かが分かれ目になる。性能向上が収益につながる構造に転換できれば、勝ちパターンに乗れる

6. 国として今やるべきこと

  • 26年卒にはほぼ影響がない。だが27年卒から少しずつ影響が出始め、28年卒では大きく変わってもおかしくない。AI失業は解雇より先に「採用の抑制」から始まる
  • 厚生労働省や経済産業省が新卒採用の動向を分析し、早めに異変に気づけるようにする。大学生向けの支援策も用意しておく
  • 大学・専門学校・高専の定員やカリキュラムは労働需要が変わらない前提で組まれている。影響を受けそうな分野の定員を見直し、教育と産業をつなぎ直す必要がある

まとめ・結論

AI失業は日本の雇用統計にはまだ表れていません。しかし米国ではすでにジュニア層の雇用に影響が出ており、日本でも特定の職種から急速に広がるおそれがあります。安野氏は、統計を見てから動く従来の政策では間に合わないと述べています。兆候をつかむセンサー、労働移動を後押しするリスキリング、いざという時に発動できる給付の仕組みを今のうちに整え、シナリオを想定して先回りで「受け身」をとっておくことが大切だと訴えています。


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この記事を書いた人

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