【中島聡×エミン】AI開発競争もう止まらない/半導体ブームは10年後も続くのか/2027年は転換点/生き残る企業は?【楽待 RAKUMACHI】

https://youtu.be/ubMtWZQfxNg

目次

3行要約

① エンジニア・投資家の中島聡氏は、OpenAIがAI自身に設計させた独自チップでNVIDIAのCUDA依存を崩しつつあると指摘する一方、自身は月200ドルのAIでエンジニア2〜3人分(年30万ドル相当)の仕事をこなしており、「10年以内にAIなしでは仕事ができない人だらけになる」と巨大な需要を確信している。

② エコノミストのエミン・ユルマズ氏は、ハイパースケーラーの設備投資が今年約6000億ドル、来年1兆ドル弱(簿外債務を含めると3〜4兆ドル)に達し、利払いだけで年1500億ドル以上の利益が必要なのに、AI企業はまだ利益を出せていないと警告した。

③ AIを軸にした米中の「AI冷戦」、ホワイトカラーの雇用不安と中間選挙リスク、ITバブル時の光ファイバーのような過剰投資の可能性を踏まえ、借金でデータセンターを建てる企業は避けつつ「長期は強気、短期は嵐に備えよ」と結論づけた。

動画の概要

不動産投資の楽待チャンネルによる、「AI・半導体相場は10年後も続くのか、次の主役は」をテーマにした対談の前編です。米国在住のエンジニア・起業家・投資家の中島聡氏と、エコノミストのエミン・ユルマズ氏が、最新の技術動向、米中の覇権争い、巨額の設備投資と収益化の壁、業界の勢力図、相場が崩れるリスクシナリオについて語り合っています。

主なポイント

1. NVIDIA一強は崩れるか――OpenAIの独自チップ

  • 中島氏が最も注目するのは、OpenAIが開発した独自AIチップ(通称「ハラピーニョ」)。性能が高いうえ、設計に自社のAIを使っている点が大きいという。
  • NVIDIAの強さはCUDAというソフトウェア・開発環境にあった。しかし、プログラムを書けるAIの登場により、チップに最適なソフトをAIに作らせればCUDAが不要になることが示された。
  • OpenAIやAnthropicのように大量のチップを必要とする企業は、NVIDIAの7〜8割という粗利を節約できる。さらに汎用GPUの無駄を省いて、「安く、速い」カスタムチップを作れる。
  • 中島氏はNVIDIAの長期保有者で、それでも「まだ売る気にはなれない」と悩んでいると明かした。

2. 注目イベントと長期金利の上昇

  • エミン氏は今年最大の注目点としてAnthropicの上場を挙げた。時価総額2兆ドル、OpenAIも1兆ドル以上を目指すとされ、狙い通りの価格でIPOできるかがAI投資ブームの継続を占う試金石になる。
  • 先に上場したSpaceXは、時価総額の85%がAI事業とされる。一度200ドルまで上がった後、IPO価格近辺まで下落しており、参考になると述べた。
  • 主要国の長期金利が上昇している要因の一つは、AIインフラ投資のための社債発行やIPOが市場の流動性を吸収していることだと指摘した。

3. 日本の半導体産業と米中「AI冷戦」

  • 中島氏は、かつて輝いていた日本の半導体が衰退し、メモリー事業はサムスンに引き継がれたことを「悲しい」と振り返った。それでも素材・製造装置のサプライヤーは世界1〜2位を維持しており、次世代のロボットやAIでもサプライチェーンの下層を取りに行く戦略はあると述べた。
  • エミン氏は、米中はすでに「AI冷戦」状態にあると指摘した。中国は9月15日から重要産業の中国籍エンジニア・科学者の出国を許可制にし、米国は最先端GPUや露光装置の対中輸出を禁止、中国はレアアース規制で対抗しているという。
  • 20世紀の覇権争いが石油を中心に起きたように、21世紀は半導体と計算能力、それを作る資源をめぐる争いになると述べた。

4. 止まらない開発競争――AIの「戦国時代」

  • ハイパースケーラーの設備投資は今年約6000億ドル、来年は1兆ドル弱とされ、簿外債務や保証を含めると3〜4兆ドル規模になる。
  • エミン氏は、NVIDIAが顧客をファイナンスして10〜20年自社製品を使う契約を結ばせており、「AI世界の中央銀行」になりつつあると表現した。
  • データセンターは電力と水を大量に使うため、米国では電気料金の上昇を理由に地元で反対運動も起きている。一方で、電力インフラへの投資はまだ少ない。
  • これまでGAFAMは検索、SNS、スマホなど互いの領域に踏み込まない「大名」のようだった。AIではそれが「戦国時代」に変わり、ブレーキを踏んだ者から負けになるため誰も止まれないと述べた。

5. 中島氏が見る「とんでもない需要」

  • ITバブルになぞらえる声もあるが、中島氏はGoogleやOpenAIには需要が見えていると考えている。自身はAnthropicに月200ドルを払い、API換算で約8000ドル分を使っている。その消費電力は米国の一般家庭1世帯分に相当するという。
  • 40年以上自分でプログラムを書いてきたが、ここ半年は書いておらず、AIに指示するだけになった。こうした人はまだ世界人口の0.2%程度で、今後は投資家や弁護士などにも広がるとした。
  • ハイパースケーラーは自社株買いをやめて成長投資に回すべきで、Googleがそれを発表する日が来ると予想した。バフェット氏のチームがGoogle株を買ったことも、AI投資がバブルではない証拠だと述べた。

6. 収益化の壁と雇用への影響

  • エミン氏は「赤字の会社が多いのではなく、利益を出している会社がない」と指摘した。企業向けの1人月25ドル程度の料金では利益は出ず、本来は10倍取らなければならない。OpenAIが実際の価格で請求しようとした際には利用が止まったという。
  • 多くの業務には最先端モデルは不要で、中国などから安価なモデルが次々に出てくる。そのためAIモデルはインターネットプロバイダーのような儲からないインフラになる可能性があるとした。
  • 中島氏は、月200ドルのAIがエンジニア2〜3人分(年30万ドル相当)の仕事をしており、人件費との比較で考えれば価格はまだ上げられると述べた。
  • 一方でエミン氏は、企業が新人を採用しなくなれば失業者が増え、「誰がその商品を買うのか」という経済崩壊のリスクがあると懸念した。AIが奪うのは移民ではなく白人のデスクワークであり、中間選挙での逆風になりうると指摘した。
  • 中島氏は、米国の分断や、NY市長による市営スーパー構想のような左派の台頭を懸念した。トップダウンで電力を整備できる中国の方が勝つ恐れがあるとし、これを中間選挙の最大の争点にすべきだと述べた。

7. 業界の勢力図――データセンターはインフラ化

  • 露光装置のASMLとファウンドリーのTSMCがほぼ独占状態にある。その上にNVIDIA、カスタムチップのBroadcom、メモリーメーカー、日本の素材・装置メーカーが連なる。
  • 中島氏は、AIモデルや半導体はいずれコモディティ化するが、巨額の資本と電力を要するデータセンターは残ると予想した。ハイパースケーラーは電力会社のように計算能力を従量課金で売るインフラ企業に変わっていくという。
  • イーロン・マスク氏の宇宙データセンター構想は物理的には可能だが、メンテナンスできない環境での折り畳み式ラジエーターによる冷却など、課題は大きいとした。
  • エミン氏は、第1層が米国と中国、第2層が欧州・日本(部品・素材)と韓国・台湾(ファウンドリー・メモリー)で、それ以外の国は「使う側」だと整理した。

8. 相場が崩れるリスクシナリオ

  • ビッグテックのフリーキャッシュフローはマイナスに転じ、来年の設備投資はほぼ借金で賄われる。1兆ドルを5%で借りれば年500億ドルの利払いが必要だが、OpenAIとAnthropicを合わせてもまだ赤字である。
  • ITバブル期に敷設された光ファイバーは崩壊時に9割以上が未使用だった。後に活用されたとはいえ、借金は返せず投げ売りされた。同様に、3万ドルのGPUが投げ売りされる事態も起こりうるとした。
  • ChatGPTの有料会員がNetflix並みの3億人になり、月2万円程度を払うようになれば採算が合うが、来年すぐには難しいとエミン氏は見る。
  • 中島氏は幅広く投資しつつ、Oracleのように借金でデータセンターを建てる企業だけは避けていると明かした。本業で稼ぐGoogleなどは、いざとなれば投資を絞ればキャッシュフローが戻るのでリスクは小さいとした。

まとめ・結論

AIが社会を大きく変える技術であることには両氏とも異論はありません。一方で、投資額と収益化のタイミングのずれが最大のリスクです。中島氏は「長期的には強気、ただし短期的には嵐が来る」とし、AnthropicやOpenAIの上場後はSpaceXのように一度上がって下がる局面が予想されるため、慌てず下がってから買えばよいと助言しました。相場の順番は読めないため売買に振り回されず、長期投資に徹する姿勢が重要だとまとめています。


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この記事を書いた人

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