▶ 元動画:https://www.youtube.com/watch?v=_Wwb0-52ooI
■ 3行でわかる
① フランスでは公務員の給与削減に反対する約20万人のデモに続き、10月1日にマクロン政権が教育予算の削減を発表したことに怒った高校生たちが、デモを起こしている。ネズミが走る校舎や教職員不足が背景にあり、根っこにあるのは緊縮財政だ。
② 三橋貴明氏は、経済学は需要に対して供給が足りない状況しか想定せず、緊縮財政と規制緩和を「善」とするグローバリズムの思想的な支えになっていると指摘する。その最大の成果であるユーロのせいで、フランスは自国の中央銀行が国債を買い取って金利を抑えることができない。
③ 10年物国債の金利が2020年のマイナス圏から5%近くまで上がり、来年夏の大統領選で首位を走るルペン氏も、財政規律を憲法に書くことや200億ユーロの歳出削減を言わされている。有権者と市場の板挟みで、フランスは財政破綻に至る「ギリシャへの道」を歩みつつあるという。
動画の概要
三橋TV第1239回で、三橋貴明氏とキャスターの菅沢こゆき氏が、ユーロ加盟国フランスが市場の圧力で八方ふさがりになっている現状を解説しています。デモの背景にある緊縮財政から始まり、経済学とグローバリズムの関係、ユーロという制度の欠陥、大統領選への影響まで掘り下げ、「日本はフランスとはまったく話が違う」と強調しています。
主なポイント
1. 高校生デモの背景は緊縮財政
- 約1か月前に、公務員の給与削減に反対するデモ(約20万人)があった。
- 公立校は校舎の手入れもされず、ネズミが走り、教職員が足りずに授業が行われないこともある。
- そこへ10月1日にマクロン政権が教育予算の削減を発表し、高校生が主導するデモに発展した。
- 2つのデモに共通しているのは緊縮財政への反発だという。
2. 経済学はインフレギャップしか想定しない
- 経済学は経済を自然現象のように扱い、普遍的な数理モデルにしようとする。
- 経済学の目的は効用の最大化で、需要に対して供給が足りない「インフレギャップ」を埋めることしか想定していない。デフレは想定外だという。
- ギャップを埋める方法は2つある。増税や歳出削減で需要を減らす緊縮財政と、規制緩和で供給能力を上げることだ。
- 織田信長は楽市楽座で規制を緩めて物価を下げる一方、鉄砲・鉛・硝石は規制した。安全保障に関わるものは別に扱うという常識が、今の経済学者やグローバリストには欠けていると三橋氏は批判する。
- 経済学はグローバリズムの思想的な後ろ盾で、規制緩和で儲かる人たちにとって都合がよいという。
3. ユーロという「最大の成果」と欠陥
- ユーロの生みの親とされるマンデル教授は、各国に金融政策と財政政策を使わせないためにユーロをつくった、と語っていた。
- フランス銀行は欧州中央銀行の支店のような扱いで、国債を買い取って金利をコントロールする権限がない。
- 10年物国債の金利は、2020年にはマイナス圏だったものが、いまは5%近くまで上がっている。
- 政府債務の対GDP比やプライマリーバランスを見ても、大騒ぎするほどではない。それでもフランスだけが目の敵にされている。
4. 有権者と市場の対立
- 有権者はインフラ、社会保障、教育予算、公務員の給与、減税を求め、投票で政治家に圧力をかける。
- 一方の市場(債券市場・株式市場の投資家やファンド)は、スポンサーを通じてマスコミを味方につけ、報道で圧力をかける。
- 「日本もフランスを見習え、対岸の火事ではない」と言い出す人が必ず出てくるが、日本には日銀があるのでまったく話が違う、と三橋氏は言う。
5. 大統領選とルペン氏の板挟み
- 来年夏の大統領選では、国民連合のルペン氏が首位を走り、2位は左派のメランション氏。
- ルペン氏は財政赤字を2030年にGDP比3%未満にすると公約した。さらに財政規律の「黄金律」を憲法に書き込むための国民投票や、移民関連費・EU拠出金などで年200億ユーロの削減まで打ち出している。
- フランスで最大の歳出は年金で、年金受給者がルペン氏を支持している。受給年齢を後ろ倒しにすれば選挙に負けかねない。
- フランス有権者の84%が公的債務の削減に賛成していることも、財政に対する理解が進んでいない表れだという。
まとめ・結論
ユーロに加盟しているため金融政策を使えないフランスは、国債の金利上昇という市場の圧力で財政政策を変えさせられています。有権者の要求と市場の要求に挟まれ、最終的に債務のヘアカット(デフォルト)へ向かう「ギリシャへの道」を歩んでいる、と三橋氏は見ています。こうした八方ふさがりを生む根本には、需要を抑え供給を増やすことしか考えない経済学がある、という指摘です。
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