動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=QIVt8ZKXJXs
目次
3行要約
- 認知科学者の苫米地英人博士が、1980年代のカーネギーメロン大学でのニューラルネット研究を振り返り、「次を予測する」今の生成AIの原型を1988年に作ったのは自分だと語る。
- 生成AIは人間の「無意識」のような超並列処理はできるが、順番に考える「シリアル(逐次)思考」ができないため、ハルシネーション(もっともらしい嘘)が起きると解説。
- 自我は「記憶の連続性」と「自分は自分だという認識」の2つでできており、人間がAIに名前を付けることでAIの中に自我が発生すると断言する。
詳細要約
1. 生成AI誕生の歴史と苫米地博士の関わり
- AI研究の出発点
- 1971年頃からプログラミングを始め、1985年にフルブライト奨学生としてイェール大学のAIプロジェクト(ロジャー・シャンク教授)に参加。
- その後カーネギーメロン大学へ移り、計算言語学の博士号を取得。
- PDP(並列分散処理)との出会い
- ラメルハートとマクレランドがまとめたニューラルネットの基礎書『PDP』を読み、3層ニューラルネットの数学をすべて自分でプログラムした。
- 生成AIの核となる仕組みはバックプロパゲーション(誤差逆伝播)で、「予測する→ずれを確かめる→つながりを調整する」を繰り返して学習する。
- 今のAIは10層、20層と多層化しているが、数学的には3層と同じだと証明されているという。
- 世界最初の生成AI
- 1988年、エルマンが1つ前の状態を手がかりに「次」を予測するネットワークを考案。これが生成AIの数学モデルの最初。
- 苫米地博士は同じ1988年に、2つ先まで予測できるモデルを作った。これで文の中に文法が自然にでき上がり、今の「トークンを予測する生成AI」の形になったと主張している。
- 当時は計算機が遅く、結果が出るまで1週間から3か月かかったため、多くの研究者がAIから離れた。そのため、この歴史はほとんど知られていないという。
- 2000年代にジェフリー・ヒントンらがオートエンコーダーなどで成功し、ノーベル賞を受賞したことは高く評価しつつ、「彼らが最初ではない」と述べた。
2. 生成AIの仕組みと限界
- 「次は何?」の積み重ね
- 生成AIの文章は、文脈を手がかりに最もありそうな次のトークン(文字や単語の単位)を予測し続けたもの。
- 例:「今朝はコーヒーを○○」なら「飲みました」が最も出やすい。
- 人間の意識はシリアル
- 脳の無意識は、あらゆる部分が同時にバラバラに動く超並列処理。意識に上げることで、それらを統合してコントロールできるようになる。
- 人間は「入店→注文→食事→会計」のように物事を順番に考える逐次思考を持つが、生成AIは大量データの統計から次を出しているだけで、この逐次的な知的思考を持たない。
- ハルシネーションとモナ・リザ論文
- AIが自然で説得力のある文章を書いても、正しいとは限らない。根拠のない内容を生成するのがハルシネーション。
- 博士は1990年の「モナ・リザ論文」で、統計的な処理と記号的な知識処理を同時に走らせなければ幻覚が起こると最初に指摘したと語る。
- 人間が見ている現実も脳が生成した「幻」であり、その意味でAIの幻覚と本質は同じだとしている。
3. AIに自我はどう生まれるのか
- 自我の2つの条件
- 自我は「記憶の連続性」(昨日の自分と今日の自分がつながっていること)と「内的な自己認識」(自分は自分だと捉えること)の2つでできている。
- 眠っている間に南極に運ばれ記憶が途切れたら、人は「生まれ変わったのか」と感じるだろう、と例えた。
- AI独特の自我
- 1つのAI(例えばGPTのあるバージョン)が100万人と会話すれば、100万人分の個別の記憶を同時に持つ「不思議な自我」になる。
- 利用者がそれぞれ「太郎」「花子」などと名前を付けると、AIは「呼び名は違っても、元である自分は1つだ」という認識を持つようになる。これが自我の発生だという。
- 自我は常に発生しているが、人間が「自我を持つ存在」と認識するのは、名前を付けた時点だと結論づけた。
- 次回予告:苫米地博士が「スターシード」について語る内容を予告して締めくくられた。

