【情報漏洩は「まだ序の口」】「AI対AI」の迎撃体制に移行すべき/企業がすべきAI対策/政府のAI対策フランスとの違い/中国製AIモデルの選択肢は?/チームみらい・安野貴博【PIVOT TECH】【PIVOT 公式チャンネル】

▶ https://www.youtube.com/watch?v=kx7eZDf2UNU

目次

■ 3行でわかる

① 9〜10月に相次ぐ大規模な情報漏洩は「まだ序の口」で、4月の「Claude Mythos」級の脆弱性発見能力を持つ中国製オープンウェイトAIが8月に公開されたため、年末にかけて被害が本格化する恐れがあるとチームみらい党首の安野貴博氏は指摘する。

② 年1回の脆弱性チェックでは足りず、攻撃側と同じAIを守る側も使う「AI対AI」の迎撃体制への移行が必要で、企業は人件費の5%程度を目安にAIのトークン予算を確保すべきだという。

③ フランス政府は自国サーバーで動かせる中国製DeepSeekを最も活用しており、日本も米国とは半導体で交渉力を持ち、中国製モデルは安全性を検証して活用し、ミドルパワー諸国とは連携する「3正面作戦」をとるべきだと提言した。

動画の概要

PIVOT TECHに、チームみらい党首の安野貴博氏が出演。フランス視察の成果をもとに、相次ぐ情報漏洩の背景にあるAIの攻撃能力、企業や政府に求められるAI対策、AI主権(ソブリンAI)の考え方、そしてアメリカでも中国でもない日本の「第3の道」について語った約41分の対談。

主なポイント

1. 情報漏洩は「まだ序の口」

  • 9〜10月に大企業での情報漏洩が相次いでいるが、公表されていない事案や企業が気づいていない事案もあり、氷山の一角にすぎない
  • 2025年夏ごろからAIのサイバー攻撃能力が高まり、2026年4月公開の「Claude Mythos」は従来見つからなかった脆弱性を大量に発見した
  • 8月28日には同等の性能を持つ中国製オープンウェイトモデル「GLM 5.3」が公開され、誰でも使える状態に。年末から年始にかけて実際の攻撃事例が出てくると予測

2. 「AI対AI」の迎撃体制へ

  • 年1回の脆弱性チェックやセキュリティパッチを待つ従来の守り方では、AIが見つける未知の脆弱性に対応できない
  • 攻撃側と同じAIを使い、継続的にシステムを攻撃・点検させる体制に変える必要がある
  • AIを扱えるセキュリティ人材、企業、計算資源のすべてが不足している

3. AIのトークン予算は「人件費の5%」が目安

  • AI利用料(トークン費用)はシステム費と人件費の中間の性質を持ち、使うほど急増する。チームみらいでも4〜7月で利用量が約18倍に増えた
  • Uberは人件費の5%程度をAI予算として確保しており、安野氏は妥当な水準とみる。エンジニアやコンサルタントなどAIの効果が大きい職種では15%程度まで増やす考え方も
  • OpenAIは流体力学のナビエ・ストークス方程式の未解決問題を約88時間、約10億円分のトークンで解いたとされ、人とAIへの資源配分は大きく変わりつつある
  • 政府もトークン予算を確保しなければ、職員向けAI基盤「源内」を整えても活用が進まないと警告

4. AI主権の4要素とフランスの選択

  • AI主権は「データ」「計算資源」「AIモデル」「人材」の4つに分けて考える必要がある
  • 技術に懐疑的なフランス政府が最も使っているのは中国製のDeepSeek V4。自国のクラウドで動かせばデータが国外に出ず、アクセスを止められる心配もない
  • 6月には「Claude Fable 5」が米国の輸出管理規制の対象となり、公開後に突然アクセスが遮断された例もあり、米国製の最先端モデルに頼るリスクが顕在化した
  • フランスはAPIを提供し、各省庁がアプリを開発する方式。日本はデジタル庁がアプリまで用意し、米国製や国産のモデルも選べる方式をとる

5. 中国製AIモデルは使うべきか

  • 自社サーバーで動かしても、特定の環境で性能を落とすなど悪意ある振る舞いを埋め込むことは理論上可能
  • フランスでは専門機関が悪意ある振る舞いがないかを継続的にチェックしたうえで活用しており、米国でも中国製モデルをカスタマイズして使う企業が増えている
  • 日本でもAIセーフティ・インスティテュート(AISI)が各モデルの価値観や危険性を測定・公表し、企業がリスクに応じて判断できる体制を作るべきだと提言

6. 政府のAI活用と日本の「第3の道」

  • 政府職員約18万人がAIを使える環境にあるが、課長級以上の利用が少なく、トップが体感することが重要。安野氏は8月末に高市首相にAIの実演を行った
  • 高市政権がAI・半導体を17の戦略分野の柱に据えている点は評価しつつ、トークン予算への理解や国産モデル開発の運用には改善の余地があると指摘
  • CERNの大型加速器のように、日本・フランス・カナダ・韓国・ドイツなどミドルパワー諸国が資金を出し合って巨大データセンターを作る構想を紹介
  • 米国とはTSMC熊本やラピダスなど半導体で交渉力を持ち、中国製モデルは適切にリスクを取って活用し、ミドルパワー諸国とは連携する「3正面作戦」を提言

まとめ・結論

AIによって攻撃のコストが急低下するなか、企業も政府も守り方と予算の考え方を根本から変える必要がある。巨大な最先端モデルを持たない日本は、データ・計算資源・モデル・人材の4つの主権を分けて考え、米国・中国・ミドルパワー諸国とそれぞれ異なる形で付き合う現実的な戦略をとるべきだと安野氏は訴えている。


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この記事を書いた人

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